憲法改正草案周知へ 自民 HPで前面に

2012年12月18日 19:45

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自民党がホームページで「憲法草案」を前面に打ち出し、憲法改正をめざす動きを強めている。憲法改正草案を周知し、憲法改正への意識高揚を図る狙いがあると見られている

 自民党がホームページで「憲法草案」を前面に打ち出し、憲法改正をめざす動きを強めている。憲法改正草案を周知し、憲法改正への意識高揚を図る狙いがあると見られている。

 自民党はホームページで「新たな日本にふさわしい自主憲法の制定を今こそ」とアピール。自主憲法制定はもともと自民党の大きな目標ではあったが、総選挙中は経済再生、円高・デフレ対策とともに教育を歪めた日教組に支えられる民主党など、安倍晋三総裁の街頭演説は、経済を軸にしたものが中心で、憲法を前面に街頭でアピールしたのは自主憲法制定を掲げる日本維新の会と立場を逆にする現行憲法「護憲派」の日本共産党と社会民主党ぐらいだった。

 しかし、今回、改選後の自民の絶対多数、さらに日本維新の会の大躍進の結果、憲法改正は現実味をおびる状況になった。改憲派勢力の優位な状況下で、強く改憲をめざすタカ派の安倍カラーが濃くなりつつある。

 自民党は「自主憲法の制定は自民党の使命」とホームページで朱記した。

 自民党の憲法改正草案をみると、特に、天皇については「元首」とし、「国歌は君が代」とした。「元号」も憲法で規定する。天皇や国歌の規定は安倍総裁が最も求めていた改正点のひとつである。

 また、安全保障では「自衛権」を明記。「国防軍の保持」を規定。内閣総理大臣に「国防軍の指揮権」を規定する。

 国民が国を守る義務については自民党のQアンドAで「憲法上、規定をおくことは、具体的な内容として、徴兵制を問われることになるので、困難であると考えた」とし、明文規定をしないかわりに「憲法前文で『国を自ら守る』と抽象的に規定するとともに、9条3として『国民と協力して』領土を守ることを規定した」としている。

 憲法前文の趣旨と9条3を根拠として、国会で徴兵制の法案が成立すれば、徴兵制が採用できると判断するのが自然だろう。

 一方、国民の権利義務では21条2項に「公益および公の秩序を害することを目的とした活動等の規制」があり「公益や公の秩序を害する活動については表現の自由や結社の自由は認めない」と規定している。

 ただ、「公益や公の秩序を害することを目的とした活動かどうか」を国家権力でない第3者機関が判断しなければ、極端な話、徴兵制を採りたい時の政府にとって、不利な記事や反対運動の活動は「公の秩序や公益を害することを目的とする行為」として規制対象になったり、表現の自由から逸脱すると判断されかねない危険性をはらんでいる。

 国民の権利・義務については拡大解釈ができないよう、一層厳密で、誰が解釈しても同一にしか解釈できない明確な表現での規定が求められる。

 今回の自民党の動きが契機となり、護憲勢力も含め、現行憲法の各々の条文の重さを再認識したり、改憲派や加憲派の意見の根拠を知るうえでも活発化すること事態はいいことだろう。(編集担当:森高龍二)