【日経平均】FOMCは量的緩和縮小100億ドルで376円安

2014年01月30日 20:19

 29日のNYダウは189ドルの大幅安で昨年11月以来の安値。注目のFOMCの結果は前回と同じく量的緩和100億ドル縮小を全員一致で決め、ブレることなくペースを保ち粛々と進軍した。新興国通貨が急落し世界のマーケットが混乱しても、それは誰かの仕掛けで「餌兵は食らうことなかれ」とでも思っているのか声明は新興国完全無視。新興国を追いつめるだけで活路を用意しないと後で痛い目にあいそうだが、31日で退任するバーナンキ議長は晩節を汚して「我が後は洪水」でもいいらしい。結果発表直後は株も債券も為替も乱高下し、南アフリカの利上げもボーイングの好決算も吹き飛び、新興国通貨は再び急落。円への逃避でドル円は一時101円台に突入。30日朝方の為替レートはドル円102円台前半、ユーロ円139円台後半で、どちらも前日比で1円を超える円高が進行した。

 シカゴCME先物清算値は14975円。外資系証券経由の売買注文動向は売り越し。日経平均は271.21円安の15112.70円で始まる。午前9時10分すぎに15000円の大台を割り、さらに14900円も割り込んで9時34分に14887円の安値をつける。たたみかけるように10時ホイッスルの売り出動で下落幅は500円をオーバーし10時4分に日経平均は14853円まで下落。東京市場は「バーナンキの最後っ屁暴落」の様相すら呈してきた。春節休暇前最終売買日の上海、香港市場も下落してスタート。その後は15900円台になかなか乗せられず低迷し前引は14872円だった。

 後場は株価が少し戻り14900円台で再開し、たびたび15000円にタッチする。前場と比べて値上がり銘柄も増えてひと息ついた状況だったが、午後2時台には14900円台前半までじりじり下げる。それでも大引け前には上昇をみせ、終値は376.85円安の15007.16円で、反落したが最後には大台を取り戻して終えた。寄り高で日中値幅は259円。TOPIXは-32.09の1224.09。売買高は30億株、売買代金は3兆222億円で3兆円台に乗せた。

 東証1部の値上がり銘柄は78、値下がり銘柄は1687という全面安で全業種がマイナス。下げ幅が小さかったのは鉄鋼、陸運、空運、医薬品、鉱業、サービスなど。大きかったのは不動産、保険、証券、銀行、その他金融、電気・ガスなどだった。

 日経平均採用225種はプラスがヤマトHD<9064>、アステラス製薬<4503>、JR東海<9022>、コマツ<6301>、大日本印刷<7912>、新日鉄住金<5401>、日本製紙<3863>の7銘柄、マイナスが216銘柄。プラス銘柄が束になっても寄与度は+5円で、マイナス寄与度1位のファナック<6954>の-25円の5分の1に過ぎなかった。2位はファーストリテイリング<9983>で-23円、3位は7日続落したソフトバンク<9984>で-16円だった。

 メガバンクは後場一段安でみずほ<8411>は7円安、三菱UFJ<8306>は22円安、三井住友FG<8613>は4~12月期決算で最終利益28%増でも272円安と売られた。18円安で値下がり率3位の新生銀行<8303>は決算発表で通期純利益を1100億円も下方修正して失望売りを集め売買高4位。野村HD<8604>は30円安。トヨタ<7203>は6年ぶりに営業利益が最高益更新という業績観測記事が出たが138円の大幅安。ホンダ<7267>も101円の3ケタ安。三菱自動車<7211>は8円安。マツダ<7261>は19円安だった。自動車大手同様に電機大手も全滅状態で17円安の日立<6501>、14円安のNEC<6701>の下落幅が大きかった。

 3月期決算企業の4~12月期の決算発表がピークを迎えつつあるが、世界同時リスクオフをFOMCが無視し、涼しい顔で量的緩和縮小を予定通りに進める外部要因のインパクトが強烈すぎて、決算の内容が市場予測を超えても、通期見通しを上方修正しても株価が上がらない銘柄が相次いだ。その中で前場から上昇した主力株がコマツとJR東海で、コマツは4~12月期決算の純利益が27%増でGEと鉱山機械で合弁するというニュースもあり20円高で売買代金11位。245円高のJR東海は東海道新幹線の乗客数が好調で4~12月の営業利益が16%増になった。