【日経平均】385円安でも終値では15000円の大台を維持

2014年01月27日 20:19

 前週末24日のNYダウは318ドル安で16000ドルを割り込み約1ヵ月ぶりの安値に沈んだ。30種の上昇銘柄は決算が良かったマイクロソフト、P&Gとメルクだけ。世界同時リスクオフはとどまるところを知らず、世界同時株安は当然のこと、アルゼンチンペソなど新興国通貨も豪ドルなど資源国通貨も、ドルもユーロも下げ続け、スイスフランまで対円で下落する始末。日本円への逃避、債券への逃避、金への逃避がとめどなく続いた。27日朝方の為替レートは、ドル円は早朝の101円台からやや持ち直して102円前半、ユーロ円は139円台後半になっていた。

 世界同時リスクオフのまま週が明け、15000円を割り込んだシカゴCME先物清算値にさや寄せして大台割れ覚悟の日経平均は300.11円安の15091.45円で始まる。売り気配の主力株に値がつくと15000円を割り込み、午前9時17分に14933円まで下げたがすぐリカバリーし、15000円にときどきタッチする小動きが前引けまで続く。支えになったのが東京外為市場が開いた後の為替レートで、ドル円もユーロ円も早朝の水準からやや円安方向に振れ、ユーロ円は140円にタッチした。上海総合指数は反落し香港ハンセン指数は大幅安でも東京市場は押し目買い意欲がけっこう旺盛で底堅く、前引けは15009円だった。

 後場も15000円近辺で、先物売りと押し目買いが均衡したような安値もみあいが延々続き、その間に為替は徐々に円安に振れてドル円は102円台半ばになり、ユーロ円は140円台に定着。日経平均は15000円を少し上回る水準で推移する。動きに乏しいまま大引けになり、終値は385.83円安の15005.73円で3日続落し、1月は週明け4連敗になったが、15000円台を維持した点が「冬来たりなば、春遠からじ」を感じさせる。日中値幅は176円。TOPIXも-35.37の1229.23で3日続落。売買高は32億株、売買代金は2兆8502億円で、押し目買いも入って商いは活発だった。

 東証1部の値上がり銘柄はたった29。値下がり銘柄は1744で全体の98%を占める完璧な全面安。東証33業種別騰落率も当然全業種マイナスで、下落幅が小さい業種は水産・農林、建設、陸運、小売、食料品、精密機器など。大きい業種は保険、鉄鋼、その他金融、不動産、証券、機械などだった。

 日経平均採用225種で値上がりは大林組<1802>、千代田化工建設<6366>、ヤマトHD<9064>、大阪ガス<9532>、清水建設<1803>の5銘柄だけで、値下がりは219銘柄。プラス銘柄が束になっても寄与度は+2円だった一方、マイナス寄与度は1~4位の「四天王」だけで-68円もあった。

 売買高1位のメガバンクのみずほ<8411>は2.4億株の大商いで6円安。売買代金1位は1296億円のソフトバンク<9984>で122円安。三菱UFJ<8306>は23円安、三井住友FG<8316>は156円安だった。野村HD<8604>は28円安。リスクオフの円買いが進んで自動車銘柄の株価はトヨタ<7203>131円安、ホンダ<7267>75円安、マツダ<7261>14円安、富士重工<7270>71円安と大きく下落した。

 インフラ輸出の代表銘柄の日立<6501>は売買高6位、売買代金4位ながら31円安で、東芝<6502>も12円安。パナソニック<6752>は40円安、シャープ<6753>は13円安、前週好調だったNEC<6701>も4円安。半導体検査装置のアドバンテスト<6857>は4~12月期の営業損益が200億円前後の赤字という業績観測報道が出て78円安と売られた。KDDI<9433>は162円安、キヤノン<7751>は79円安。新日鐵住金<5401>17円安、日本郵船<9101>6円安、三井不動産<8801>142円安、三菱地所<8802>103円安と、主力銘柄の「01」「02」銘柄も軒並み株価を下げていた。

 この日、朝から逆行高だったのが三菱製紙<3864>で、一時ストップ高の30円高で値上がり率1位。売買高2位に入った。発火しにくい不織布でリチウムイオン電池のセパレータを開発したという日経新聞の報道が買い材料。昨年10月に日東電工<6988>と入れ替わるような形で日経平均225種から外れているが、その日東電工は118円安だった。マルハニチロ<1334>は冷凍食品の農薬混入問題で関連会社従業員が逮捕された25日に社長が引責辞任を発表し特別損失計上を発表。会社の責任事故ではなく一時4円高まで上昇したが、終値は値動きなしだった。

 大林組はSMBC日興証券がレーティングを引き上げて買われ23円高で値上がり率9位。同じ大手ゼネコンの清水建設も1円高と連れ高し、一時は大成建設<1801>や鹿島<1812>もプラスに浮上した。プラント大手の千代田化工建設も徐々に上昇を続けて22円高。日本海洋掘削<1606>が30円高で引けた材料は午後、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が国際海底機構(ISA)と南鳥島沖約600キロの公海で海底地層「コバルトリッチクラスト」の独占探査権を取得契約を結んだというニュース。レアメタル鉱脈発見への期待で買われた。

 富士通ゼネラル<6755>は24日に52.4%営業増益の4~12月決算を発表し、通期見通しも20億円上方修正して129円高で値上がり率5位。全農系農薬メーカーの北興化学工業<4992>は大豆の種でアルツハイマー病のワクチンを生産する技術を開発したと報じられストップ高比例配分の80円高で値上がり率2位。24日に4~12月決算を発表し、37.2%の営業増益が市場予測を上回ったエムスリー<2413>は31800円高で連日の昨年来高値更新で値上がり率6位。しかし4~12月期の純利益が4.6倍の好決算を発表したベンチャーキャピタルのジャフコ<8595>は、前場に昨年来高値を更新しながら終値は480円安で値下がり率11位。前週末まで6連騰した「セルロースナノファイバー」の星光PMC<4963>にストップがかかり135円安で値下がり率1位に。第一工業製薬<4461>も31円安だった。

 この日の主役はゲームソフト関連銘柄。全面安でFOMCを控えてうかつには動けない中、為替に影響されない内需系ということで輸出関連や主力株、他のテーマ株への投資を手控えた投資家の買いが向かった。特に健闘したのが「ファミコン時代」以来の古参で、カプコン<9697>は秋に「モンスターハンター4G」を3DS向けに発売すると発表し62円高で昨年来高値を更新し値上がり率10位。バンダイナムコHD<7832>も29円高で昨年来高値更新。コーエーテクモ<3635>は2円高。マザーズのドリコム<3793>はストップ高の70000円高で昨年来高値更新。スマホ版ドラクエを出したスクエニHD<9684>はストップ高比例配分の500円高で値上がり率3位。トーセ<4728>もストップ高の150円高で昨年来高値を更新し値上がり率4位に入っていた。

 しかしエイチーム<3662>は930円安で値下がり率3位、Klab<3656>は76円安で値下がり率9位、前週話題になった恋愛ゲームのボルテージ<3639>は150円安で値下がり率12位、三国志のコロプラ<3668>は310円安と、ゲーム関連銘柄は買われるのも派手なら、売られるのも派手だった。(編集担当:寺尾淳)