ゴルフにテニスにスノボーに、上達したいスポーツがある人に朗報だ。運動を行う時に1人より2人で行えば、たとえ素人同士であっても1人で行うよりもうまくでき、さらに上達が早いことがわかった。情報通信研究機構(NICT、理事長:坂内正夫)、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial、プレジデント:Sir Keith O’Nions)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、代表取締役社長:平田康夫)の共同研究でわかった。
これまでに行われた同様の研究で、熟練者の運動をまねさせることで素人の技能を伸ばす試みはあるが、熟練者をその都度呼び出すことは現実には困難で、実用化は進んでいないのが現状だ。そこで今回、情報通信研究機構などの研究者チームは、同じレベルの技能を持つもの同士の力感覚や触覚による相互作用が、技能上達にどのような影響をおよぼすかを調査した。
行った実験は、力覚インターフェースを使用して、初心者2人の手の先を仮想的なバネで連結し、回転カーソルによるターゲット追従という同じ運動課題を練習するというもの。2人は互いに連結していることを知らされず、「手先に力がかかることがある」とだけ告げられた。途中で連結していることに気づく人はほとんどいなかったという。
実験の結果から1人で練習する場合に比べて、同レベルの初心者に連結された方がうまくカーソルを制御できることがわかった。相手が自分より下手でも連結されている方がうまく制御できることもわかり、さらに学習もよりよく進んだ。これにより、同レベルのパートナーのリアクションが上達の重要な情報源であることが示唆された。
実験結果はスポーツ訓練や運動時の繊細な動作を回復するリハビリテーションへの応用が期待できる。また遠隔での動作訓練にも応用可能だという。スポーツの上達には、高いレッスン料を払ってコーチにつくよりも素人仲間を誘って練習に励んだほうが、近道なのかもしれない。(編集担当:横井楓)