メタボリックシンドロームという言葉がはじめて使われたのは2005年。今では「メタボ」と略されることも多く、すっかり定着した感がある。しかし、言葉の響きから軽く考えてしまうのは禁物だ。メタボは、内臓脂肪型肥満によって、さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態。とくに先進諸国の深刻な肥満問題をあらわす象徴的な言葉でもあるのだ。
夏になると、海やプールなどで肌を露出する機会も増え、ダイエットに取り組む人も多い。また、食欲が進まないことで自然に体重も落ち込みがちになる。ダイエットを考えている人にとっては渡りに船であるが、実はこれは大変危険なダイエット。食欲減退による夏ヤセは、水分やタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが不足して、代謝が悪くなってしまうのだ。
最近では、ダイエットに対する正しい知識も浸透しはじめており、以前のように食事制限のみのダイエットをする人は少なくなった。カロリーを制限しながら栄養バランスも考え、さらには運動やサプリメントを上手に取り入れて、ダイエットに取り組む人も増えている。
株式会社インテージが2012年8月に行った、健康食品・サプリメント市場の実態を捉えるための自主企画調査によると、健康食品・サプリメントの推定市場規模は、1兆4,746億円、健康食品利用推計人口は5,327万人となっている。また、健康食品・サプリメントの潜在市場規模は3兆5,732億円で、さらに現在の市場規模の2倍以上に成長できる余地があると推計されている。
また、矢野経済研究所が発表した「健康食品市場に関する調査結果2012」では、流通の主力チャネルである通信販売の2011年度の市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比104.8パーセントの2,756億円となっており、一般の通信販売市場同様、通信販売での売り上げが堅調に推移していることがわかる。
ダイエットサポートサプリメントは各社が展開して激戦状態にあるが、商品の特徴を上手く打ち出したところが勝ち残っていっているようだ。例えば、富士フィルム<4901>の「メタバリアNEO」は注目素材であるサラシアの抽出エキスを中心に、タマネギエキスのケルセチン、赤ワインエキスのポリフェノール、カテキンなどのマルチ成分をミックスし、食生活が不規則になりがちな人にターゲットを絞って展開している。
さらにサプリメントではなく医薬品でケアしたいというニーズに応え、各社漢方薬等も発売しており、他社との差別化を工夫しているようだ。
医薬品では、ロート製薬<4527>では、溜まった脂肪を落とし肥満症に効く漢方薬「防風通聖散」の有効成分を3750mgに増やした『和漢箋 防風通聖散錠Z』をこの夏新発売。これは、他社の同じ有効成分量を大きく上回り、エキス量の多い漢方ほど満足度が高いとされるユーザーの期待値に応えた商品となっている。
いずれにせよ、いくら性能の良いサプリメントといっても、それだけでダイエットを目指すのは考えものだ。健康的なダイエットを成功させる為には、やはり運動や生活習慣の改善などもあわせて取り組む必要がある。せっかく痩せても病的な痩せ方や、病気を誘発するような痩せ方をするは本末転倒だ。また、「夏だから」ではなく、一年を通して自分の体重、体脂肪を管理・コントロールするように心がけたいものだ。