「リバリュー」使えるモノは決して捨てない。滞留商材などのリバース・ロジスティックスに賭ける

2014年02月04日 18:58

 グローバルな流通経済で、ここ数年話題になっているのは「循環型サプライチェーン」という言葉だ。これは、従来の一般消費財が生産者から消費者にいたる供給行為「フォワード・サプライチェーン」と、それとは反対に消費者が使用を終えた製品が廃棄物として逆流・流通する「リバース・サプライチェーン」を合わせた経済構造ことだ。両方の財の流れを合わせて、循環型サプライチェーンと呼んでいるのである。

 循環型サプライチェーンが注目され始めた理由は、地球規模で環境を意識した持続的社会を志向しはじめたからだが、今後は消費財のライフサイクルが循環型になっているか否が、きわめて大切なこととなる。回収システムを含んだ効率的なリバース・サプライチェーンを構築するかが大きな鍵となる。

 そのリバース・サプライチェーンに関連してリバース・ロジスティックスという言葉がある。それは廃棄物の物流だけではなく、製品の返品在庫、滞留在庫や型落ち品などの物流をも含む概念だ。通信販売などで商品返品が多い欧米では、早くからその取り扱いが大きな問題となっていた。十分に使用に耐える製品を「返品だから」という理由で廃棄物として扱うのではなく、より有効な対策を構築し、流通させるのが、リバース・ロジスティックスである。この概念は循環型サプライチェーンの一部を担っている。

 これらに返品在庫などの対応するために米国には、「Reverse Logistics Association」という大きな組織があり、日本の大手家電メーカーなども加入している。が、日本では、あまり認知されていないサービスだ。また、米国では返品商品の再流通を行なう「リクイディティ・サービス」という会社がスタートし、アマゾンやウォルマートなどの商材を扱い急成長している。

 東京・千代田区に本社を置く日本企業「リバリュー」は、過剰在庫や返品在庫などを仕入れ、再評価、再度流通させる一貫したインフラを日本ではじめて整備した会社だ。まさに「リバース・ロジスティックス」を確立した日本初の企業といえる。

 同社が画期的なのは、リバース・サプライチェーンにおいて物流コスト上昇を回避できるだけの製品検品能力と品質管理への技術的バックグラウンドなど充実したインフラがあること。加えて、「販売方法をネットオークション・ユーザーやリサイクルショップなどクローズトマーケットに限定したり、輸出したりと、従来の流通構造に悪影響を与えないための施策に努め、一般的な市場で確立しているメーカーなどのブランド力を毀損することがない再流通を行なう。同時に、再流通のために新規リテール手法の創出を常に行なっている」と同社の岩堀克英社長。

 新しい手法は「日本ハウジング」や「佐川引越し」と協働で行う“住宅向け限定販売”や、大手集合住宅や裕福者子女の学生会館・学生寮、老人ホームなどでの限定販売は具体的にスタートするという。

 リバリューでは、「2010年の創業から毎年“2-3倍のペースで伸長”していて、今後も同様の成長を見込んでいる」(同社長)。前述した新しいリテール手法の開発やインフラの構築によって、世界では類を見ない「日本の“使えるものを捨てない”施策」を推し進めていく。(編集担当:吉田恒)