安倍内閣が進める「大学入試制度改革」。5~6年後をめどに現在のセンター試験が廃止され、代わって導入されるのが「達成度テスト」だ。大学側は達成度テストの成績(1点刻みではなくランクごと)に加え2次試験で学力テストを課し、面接など「人物本位の評価」も加味して合否を判断する。
達成度テストは2種類ある。1つは、できるだけ多くの高校生が受ける「基礎レベル」。基礎的・共通的な学習到達度を測るためのテストで、在学中に複数回受験できる。大学はこのテストの成績を推薦・AO入試における基礎学力の判定に活用する。
もうひとつは従来のセンター試験に代わる位置づけの「発展レベル」。大学入試の「基礎資格」となる。アメリカの大学進学適性試験(SAT)などを参考にしており、各大学はこの発展レベルテストの成績と、独自に行う学力試験、さらに面接結果や学習計画案などを総合的に評価して合否を判定する。
改革案について、教育現場ではとまどいが広がる。ベネッセ教育総合研究所が昨年末、全国の高等学校長と大学の学科長を対象にアンケートを実施したところ、「現在のセンター試験の廃止」については賛成する高校が19%だったのに対し、反対は41%。特に「国公立大学や難関私立大学への進学者が多い」高校では反対が51%と半数を超えた。「なぜセンター試験を廃止する必要があるのか」との声が多い。
一方、大学側は「センター試験の廃止」に賛成が26%、反対が28%と意見が割れた。高校で反対が多く大学では賛否が分かれているが、ともに約4割が「どちらともいえない」と回答。改革の中身を伺っている様子だ。
「基礎レベル・発展レベルの2種類の達成度テスト導入」については、高校で反対が多く、大学では賛成が多かった。3割の高校・大学が「どちらともいえない」と回答し、テストの内容が明らかになっていないことへの戸惑いも見られる。「センター試験と何が違うのか」といった声も挙がった。政府は「達成度テスト」の具体的な内容を、できるだけ早く明らかにすることが必要だろう。(編集担当:北条かや)