パナソニック 高齢者向け住宅事業の新会社設立

2014年02月08日 09:41

 パナソニック<6752>の社内カンパニーであるエコソリューションズ社は、本格的な高齢化社会をみすえて「サービス付き高齢者向け住宅事業」を運営する新会社「パナソニック コムハート株式会社を2014年2月末に設立すると2月5日に発表した。

 新会社は、よりよい介護サービスを実現するために住宅設備・電気製品・介護機器などの開発や建物の設計・施工そして販売を行う。また、それだけにとどまらず要介護者が快適に過ごせる施設建築を促進し資産活用ができるための事業展開も計画している。

 この背景には、団塊世代が75歳を迎える2025年を目処に重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるように厚生労働省が計画しているからである。

 要介護者の増加に対して、要介護者を受け入れる施設の収容能力不足、介護職員不足、そして介護費用が増大する問題がある。特に、要介護、要支援者は75歳以上でその比率特に高くなる。

 内閣府が公表している平成24年版 高齢社会白書によると、64歳までは要支援者比率1.2%、要介護者比率3.0%が75歳以上は、要支援者比率7.5%、要介護者比率21.9%と跳ね上がる。また、公益社団法人 日本経済研究センターのレポートでは、12年度の介護財政費用は約8.8兆円であるが、25年度は約21兆円と急激な伸びを示す。財政悪化を防ぐには、費用がより少なくて済む在宅介護を進めざるを得ない事情がある。

 厚生労働省は、25年を目途に重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしいくらしを続けることができるよう、「住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム」の構築を推進していくことを発表している。また、国土交通省は、数字をあげて12年以降の今後10年間で約60万戸のサービス付き高齢者向け住宅などの整備を促進すると発表している。

 このような状況下、パナソニックの新会社は、建築の際の融資を行う銀行、拠点展開のための土地情報を有する不動産会社や鉄道会社、有能な介護スタッフを育成する専門学校など、社外とのアライアンスを積極的に推進するとともに、入居者の空き住居を再生リフォームし、資産活用する事業展開も計画している。

 具体的には、土地(200~300坪)を所有するオーナーを募集し、オーナーが建物(2億円程度)を建て、その土地と建物をパナソニック コムハートが、20年以上の長期間借り上げて、オーナーに賃借料を支払う。一方、サービス付き高齢者向け住宅の入居者から、住宅の賃借料、食事代を徴収する。また、小規模多機能型居宅介護の施設利用では、介護サービス利用料、介護保険報酬を受領するビジネススキームで事業を展開する予定である。(編集担当:阪木朱玲)