一昔前までは、ゼロ系飲料と言えば、カロリーや糖質などがゼロである飲料を示していたであろう。しかし、飲酒運転の厳罰化・取り締まり強化などを受けて商品展開が進んだノンアルコールビールの普及が契機となり、近時ではゼロ飲料と言えばノンアルコール飲料と言えるほどの広がりを見せている。
2010年にカクテルテイスト清涼飲料を発売し、ノンアルコールカクテルのパイオニアとも言えるアサヒビール。市場拡大を牽引してきたとも言えるこのアサヒビールは、「アサヒダブルゼロカクテル」のパッケージ・ネーミングを一新し、「アサヒゼロカク」として9月19日から発売すると発表。新フレーバー<ラムコーラテイスト>を新発売すると同時に、<ラムコーラテイスト>を含めた4フレーバーを詰め合わせた「アサヒゼロカク 6缶バラエティパック」も数量限定で発売するという。
また、昨年10月にカクテルテイストの「のんある気分」3種を、今年はチューハイテイスト2種を定番ラインナップとして発売しているサントリー酒類は、ワインテイストのノンアルコール飲料「のんある気分〈すっきりロゼ〉」を10月2日から発売すると発表。かつてのゼロ系飲料の傾向を引きつぎ、「アルコール度数0.00%」「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」を実現した商品となっている。
さらにメルシャンは、ノンアルコール・ワインテイスト飲料「メルシャンフリー スパークリング」2種(白・ロゼ)を11月21日から発売する。この商品は、ワイン製造技術を活かした原料の開発や独自の製法(国際特許出願中)を取り入れることにより、香り豊かですっきりとした味わいを実現しており、昨年11月に予約受注にて全国で発売した際には、販売計画の5.5倍にあたる5万5千ケース(360ml×12本)を販売した実績を持つものとなっている。
ドゥ・ハウスがノンアルコール飲料の特定商品を2回以上購入しているリピートユーザーに対して実施した、「アルコール飲料」「お茶」「コーラなどの炭酸飲料」の購入頻度の変化に対する調査によると、もっとも購入頻度が減ったと回答されているのは25.8%の「アルコール飲料」、次に18.3%で「炭酸飲料」という結果が出たという。しかし、「どれも当てはまらない」と回答している割合が、53.9%となっており、リピートユーザーの半数以上が従来の飲料の代替としてではなく、「積極的に楽しむための飲用」として購入していることが窺える。飲用シーンを選ばないだけに、益々商品ラインナップは拡大し普及が進むであろう。この市場はどこまで拡大するのであろうか。