昨今の就職活動ではインターネットでの大量エントリーが当たり前になっているが、企業の「縁故(コネ)採用」がなくなったわけではないようだ。過去には岩波書店が、13年度入社社員の募集要項に「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と明記して問題となった。多くのマスメディアが「事実上のコネ採用宣言」と報じ、厚生労働省は調査に乗り出した。それほど世間が盛り上がる程度には、われわれの中に「縁故(コネ)採用はあってはならない」という建前があるのだろう。
実際、どれくらいの学生が縁故採用を利用しているのか。表に出ないため実態は把握できないが、参考になるデータがある。株式会社ウィルゲートの運営するニュースサイト、Sagoooライブラリーが就活経験のある子をもつ親396名を対象に調査したところ、全体の36.9%が「子供の就職活動を手伝ったことがある」と回答した。手伝った内容を複数回答で尋ねた結果、最も多かったのは「面接の練習」で89%、次いで「エントリーシートの作成」が34.9%、「会社人事紹介(縁故)」が14.4%、「OBOG紹介」が4.1%などとなっている。子供の就職活動を手伝った36.9%の保護者のうち14.4%が縁故入社を手助けしたと回答しているので、単純計算すると保護者全体の5.3%が「縁故入社」を支援した経験あり、ということになる。
そんな「縁故採用(コネ入社)に対してどのようなイメージを持っていますか?」と尋ねたところ、保護者世代(40~50代男女)では「賛成派(賛成+どちらかといえば賛成)」が15%だったのに対し、就活を経験した20代男女では24%と「賛成派」が4人に1人にのぼった。とはいえ両世代とも半数近くが「どちらともいえない」と回答しており、反対派がそれぞれ3割超となっている。
20代で「縁故採用」賛成派が多いのは、自身が辛い就職活動を経験したからこそ、利用できるなら縁故でも何でも使いたい、使ってもいいのでは、という意識の現れかもしれない。(編集担当:北条かや)