14日、日本銀行は金融機関同士の資金決済を担うシステム、日銀金融ネットワークシステム(日銀ネット)について、次世代の資金決済システムである「新日銀ネット」の稼働時間を2016年の早い段階で現在の午後7時から午後9時までに延長する方針を発表。こうしてアジアや欧米の取引時間と重なるようにし、日本企業の海外進出に伴う国際的な資金決済や、邦銀の日本国債を担保とした外貨調達に対応し、また海外投資家の日本国債や日本円決済の利便性を高める。
日銀ネットは当座預金取引を対象にしたシステム(当預系)と、国債の決済を対象にしたシステム(国債系)があり、現在、当預系は9時から19時まで、国債系は9時から16時30分まで稼働。これらをいずれも8時30分から21時までに延長する方針だ。日本銀行は13年7月にもこれら2つのシステムの稼働時間を8時30分から19時まで延長させる方針を示していたが、今回の発表ではそれをさらに伸ばすこととなった。
新日銀ネットの稼動は2段階の計画が予定されており、今年1月にすでに第1段階(金融調節や国債の入札関連業務などに対応)は稼動を開始しており、全面稼動となる第2段階では当座預金取引や国債決済などが対象となり、15年秋から16年の初めにかけて稼働が開始される予定だ。
稼働時間の延長は、全面稼働してから一定期間経過後に実施される予定だが、金融機関から出ている早期実施の要望や債券税制の見直しのタイミングなども踏まえ、16年の初めごろになるとの見通しが立てられている。稼働時間が延長されるだけでなく、スタート時間に関しても前倒しされ、またすべての利用先が参加するコアタイム(午前9時~午後5時)に関しては変更されない。
今回のこうした稼働時間延長措置は、金融機関やその業界団体を中心に組織されている「新日銀ネットの有効活用に向けた協議会」が同日に取りまとめた報告書の内容を踏まえて決められたことであり、また日本銀行では4月14日までに今回の措置に関する意見を電子メールにて募集している。(編集担当:滝川幸平)