金融庁、豊和銀行と2信組に対し公的資金を注入

2014年03月10日 08:41

 7日、金融庁は金融機能強化法に基づき、大分県の第二地方銀行である豊和銀行<8559>と、神奈川県の横浜中央信用組合、そして東京厚生信用組合の3金融機関に対して計400億円の公的資金を注入するとの発表を行った。こうして公的資金の注入により資本を積み増し経営基盤を強化すると同時に、中小企業に対する成長融資を後押ししたい考えがあるようだ。

 金融機能強化法では、地域経済を支える金融機関に対して中小企業への積極的な成長融資を促すために、公的資金を使って金融機関の資本を積み増し増強することが認められている。そのため金融庁は、この金融機能強化法に基づき、今回豊和銀行に対し160億円の公的資金の注入することを決定した。

 豊和銀行は、2008.年にも不良債権処理に主眼を置いた旧法に基づいた公的資金90億円の注入を受けているが、今回の公的資金注入に伴い、その90億円をいったん全額返却し、企業に対する融資などを進めるうえで有利な現行の法律に基づき、改めて160億円の公的資金を受ける。そして今回の公的資金注入には、新しい自己資本規制を踏まえて、資本の質的向上に備える狙いもあるようだ。

 また金融庁は、横浜市の中央商銀信用組合と長野県松本市のあすなろ信用組合が今月10日に合併して誕生する予定の横浜中央信用組合に対しても190億円の公的資金注入、そして東京厚生信用組合に対しても50億円の公的資金の注入を決定した。これら2つの信用組合に対しては、上部機関である全国信用協同組合連合会(全信組連)を通じて資金の注入が行われる。

 金融庁は今月末にも、豊和銀行、横浜中央信用組合、東京厚生信用組合の3金融機関に対して公的資金の注入を実施する予定だ。

 今回適用される金融機能強化法は、金融危機の際に適用される預金保険法と違い、安定状態にあっても金融機関に対して公的資金の注入が行える。04年に施行された当初は、不良債権処理の促進が主な役割であったが、08年に起きたリーマン・ショック以後改正され、貸し渋りや貸しはがし防止、また地域経済を支える金融機関に地元の中小企業への積極的な成長融資を促すための仕組みとなった。(編集担当:滝川幸平)