菅義偉官房長官は中国人労働者が戦時中に日本へ強制連行され過酷な労働を強いられたとして日本コークス(旧三井鉱山)と三菱マテリアルを相手に損害賠償請求訴訟を起こした事案について、19日、「日中間の請求権問題は日中共同声明の発出後は存在していない」とし、中国政府に適切な対応をするよう働きかける考えを示した。
菅官房長官は、請求権は存在しないと否定したが、戦時中の日本の対応については反省の弁を語った。菅官房長官は「中国人への強制労働・強制連行問題については(戦争)当時、中国の多数の方が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えている」とした。そして「戦争という異常な中とはいえ、多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは極めて遺憾だ」と述べた。
菅官房長官は戦時中の行為に遺憾の意を表したうえで「(中国人労働者が邦人企業を相手取って損害賠償請求の訴えを起こし、中国の裁判所が受理したとする報道が)事実であれば、中国国内で類似の事案を誘発することになりかねず、日中間の戦後処理の枠組みや日中経済関係への影響を深刻に懸念せざるを得ない」と憂慮した。
請求権について、中国は個人の請求権まで放棄していないとの立場。一方、日本は個人の請求権を含め日中共同声明発出後は存在していないとの認識に立っている。(編集担当:森高龍二)