平成26年度予算が政府案通り、参院本会議で自民、公明などの賛成多数で20日成立した。政府はデフレからの脱却、景気の好循環の実現、消費税引き上げによる影響緩和にむけた下支え政策など、4月以降も連続して迅速な予算執行をしていくとしており、そのためのお膳立てが出来た格好。
予算規模は一般会計で95兆8823億円と25年度当初に比べ3兆2708億円増えた。歳入では消費税率引き上げ(現行5%を4月から8%にする)により、4兆5350億円税収増を見込み、税収全体では50兆円を見込んでいる。一方、35兆2480億円が赤字公債、6兆20億円が建設公債で、公債の総額は41兆2500億円と43%を公債に依存している。
歳出をみると社会保障関係費が30兆5175億円と25年度当初(29兆1224億円)に比べ4.8%の伸びになったほか、国債費も23兆2702億円と4.6%の伸び。公共事業費用も5兆9685億円と前年度当初に比べ12.9%の大幅増になった。ほかにエネルギー対策費(9642億円、前年度当初比13.5%増)、防衛関係費(4兆8848億円、前年度当初比2.8%増)が目立つ。
具体的には沖縄振興予算で3460億円と前年度当初比15.3%の大幅増となり、那覇空港滑走路の増設事業に330億円(平成31年末までの完成をめざす)、沖縄科学技術大学院大学に198億円(前年度当初比93.1%増。知的・産業クラスター形成の推進を図る)。
官邸主導の広報強化のための予算として国内向けで50億円(前年度当初39億円)、国際向けで15億円(前年度当初5億円)。アベノミクスや社会保障と税の一体改革、TPP、エネルギー問題、安全保障、被災地の復興などをテーマに広報を想定している。国際向けでは領土関係情報発信資料の作成と広報、海外テレビなどによる対日理解への放送を促進する計画。
また食品表示偽装など利益最優先で、モラルを欠いた悪質な問題が頻発したことから、食品表示適正化にむけた地方消費者行政充実のため26年度は前年度当初予算の6倍の30億円をあてた。
東日本大震災からの復興加速にむけた取り組みでは2兆2441億円を確保。このほか、消費税増税による増収分5兆円はすべて社会保障にあてる。国民健康保険などの保険料について低所得者の保険料軽減措置を拡充し、保険料の5割軽減や2割軽減の対象者を国保で約400万人、後期高齢者医療で約110万人予定。生活保護費は2兆8823億円を計上。前年度当初比で約600億円増やした。
防衛費では警戒監視能力の強化に向けた固定翼哨戒機3機確保に594億円、哨戒ヘリコプター4機に242億円、与那国島への沿岸監視部隊の配置にむけた沿岸監視装置や庁舎の工事に158億円、水陸両用機能の強化や戦闘機の取得、護衛艦の建造などを計上している。(編集担当:森高龍二)