原チャリ以外の販売台数は好調だった今年の二輪市場

2013年12月30日 19:12

 二輪市場のジャパン・ブランドの世界シェアは40%を超えている。その中でも世界最大のカテゴリーである、90~125ccクラスでは、新興国や南米、アフリカでのニーズが高く、丈夫で壊れにくく、燃費が良いということからも、ジャパン・ブランドは絶大なる信頼を得ている。

 日本自動車工業会のデータによると、二輪メーカー各社の2013年1月~10月までの生産統計(カッコ内は前年同期比)では、ホンダ<7267>115,872台(66.46%)、スズキ<7269>142,345台(116.4%)、ヤマハ<7272>139,411台(98.68%)、カワサキ<7012>53,687台(84.59%)となり、全メーカー合計で452,444台(90.06%)と前年同期と比べて減少した。

 また同時期の輸出統計では全メーカー合計で343,390台(85.45%)と前年同期より減少しており、国内だけにとどまらず、世界的にも二輪車市場は縮小しているのだ。

 さらに詳しく国別の輸出先を見てみると、トップだったアメリカの127,352台(95.31%)に、フランスの36,238台(102.61%)、ドイツ23,424台(91.52%)、オーストラリア22,297台(87.58%)と続く。急増したのはコンゴ民主共和国の1,396台(205.59%)で、これは、中国の50台(78.17%)より2桁も多いもの。アフリカは小さいマーケットながら、着実にジャパン・ブランドが勢力を伸ばしているのだ。また近年好調だったフィリピンは、台風の影響で1,924台(26.42%)と急激に落ち込んだ。

 これらの生産統計、輸出統計は前年同期を下回ったものの、販売・出荷統計を見ると、原付第一種(~50cc)のみ、202,045台(95.4%)と減ったが、その他の排気量では152,955台(115.77%)と好調だった。国内マーケットでは大型バイクの売れ行きがいいのに対し、原付第一種、いわゆる原チャリは右肩下がりが続いている。そもそも原チャリは、世界的に見ても需要は少なく、アジア、中近東、中南米、アフリカそれぞれの地域でも100台以下の販売台数なのだ。

 現在、国内メーカー各社は、50ccのスポーツモデルは販売しておらず、そのほとんどがスクーター。原チャリの運転免許証は、学科試験のみで簡単に取得できるが、反面、最高速度が30km/h以下に制限され、交差点での2段階右折が義務付けられているなど、交通取り締まりのターゲットにされやすいといったデメリットがある。これではますます需要が減るのは当然のことだろう。大型モデルを乗っているライダーも、最初は原チャリでバイクを操る楽しさを味わったはず。原チャリの法規制を緩和し、それがきっかけでバイク業界全体が活況になってくれればいいのだが。(編集担当:鈴木博之)