13年企業の合併動向帝国データバンク調査

2014年04月01日 09:13

 近年、設備投資意欲の上昇と共に、商圏の拡大や他業種への参入を目的とした株式買収や事業譲渡などのM&Aが活発化している。景気の回復は若干見え始めているようだが、消費増税や原材料価格の値上げなど企業の収益環境に不透明感が増しており、本格的な景気回復とは言い難い。複数の業態や事業部門で構成されるグループ企業の再編に関して2014年3月27日、株式会社帝国データバンクが調査結果を発表した。

 まず、全体数では13年の合併企業数は3,783件で12年の3,824件から1.1%減少した。この集計を始めた11年から3年連続で3,000件台後半である。業種別では「製造業」605件(7.5%増)で印刷や食品、エレクトロニクスが目立つ。次いで「卸売業」592件(6.3%増)になっている。一方、「運輸、通信業」170件(15.4%減)「サービス業」818件(6.5%減)「不動産業」307件(3.8%減)の件数が前年を下回る。

 業種を細分化すると「貸事務所業」151件(4.4%減)が昨年に続き1番多く、「不動産管理」43件(22.9%)「建物売買業」37件(23.3%)など不動産業種の件数が多く見られる。また、設備投資の減退が影響する「ソフト受託開発」69件(9.5%増)原油高の影響を受ける「一般貨物自動車運送」67件(6.9%減)マーケットの縮小の影響で「パチンコホール」65件(8.5%減)の合併件数が多い。

 前年からの増加の比率が多いのは「印刷業」36件(89.5%増)がメディア媒体の多様化から苦戦している結果が出た。「医薬小売業」52件(36.8%増)「パッケージソフト業」27件(42.1%増)「老人福祉事業」26件(30.0%増)になる。

 地域別では「北海道」136件(22.5%増)「四国」100件(11.1%)「九州」323件(9.9%増)と地方が増加しており、構成比は「関東」44.6%「中部」12.2%「近畿」16.5%と三大都市圏で全体の7割強を占めている。

 13年主要企業の合併動向はパナソニック、日立製作所など電機セクターに大型合併が多く見られた。鋼鉄関係では日立金属の他、日鐵商事と住金物産が日鉄住金物産としてスタートするなどしている。13年の合併は前年度を1.1%下回ったが、原材料の価格や為替、個人消費の不安定さなど見通しははっきりせず、経営の合理化を進めるためグループ再編に動く企業が多い。一方で市場の縮小しているパチンコホールや、宿泊業などのサービス業は同業態グループ企業の合併で規模の拡大を進める。

 政府は、製造業を中心に輸出産業に力を入れているが、貿易収支は赤字が続いており、先行きは不透明で楽観視できない。今後は強固な体質作りのため合併が増加し、再編に遅れた中堅規模以下の企業の淘汰が進むかもしれない。(編集担当:高井ゆう子)