2013年の電子書籍発行点数は約60万点で、このうち、ISBNコードが付けられた紙製商業出版物の電子版は約11万5000点だった。このことからも分かる通り、今年の電子書籍市場を賑わせたのは、電子化された雑誌であったり、また「ボーンデジタル」と言われる電子出版を前提とした作品であった。また、それ以外だと、書籍の一部分を抜き出し、章単位で販売する「マイクロコンテンツ」なども、市場で活発な動きを見せた。
また、現在電子書籍の配信サイトは約40あるが、それらのサイトにて取り扱われる書籍の種類が定番化されてきており、これによりどのサイトでも同じ商品が購入出来るようになってきた。つまりこれは、この先の競争が激化することを意味している。
13年の電子書籍市場を大きく牽引したのは、間違いなく米アマゾン傘下の「Kindle(キンドル)ストア」である。その利用率はインプレスR&D の調査によれば55.2%で、2位の「iBookstore」が17.5%であることを考えると「大きく引き離している」という表現がふさわしい独走状態である。この「Kindle(キンドル)ストア」の独走にどの程度にじり寄ることが出来るかが、14年以降の日本国内企業の大きな課題であると言えるだろう。
そうした外国企業が国内で大きな存在感を示している中で、KADOKAWA<9477>の取り組みが注目を集めている。KADOKAWAは自身が大手出版社であるにも関わらず、自ら「BOOK☆WALKER」という電子書籍店を運営している。またKADOKAWAは、10月1日に行われた会社合併に合わせて大規模な電子書籍値引きセールを行い、これもまた話題を呼び注目を集めることとなった。さらには紀伊國屋書店や講談社と合同で合弁会社「日本電子図書館サービス(JDLS)」を設立し、図書館向けの電子書籍貸し出しサービスの実施を予定している。
また「楽天kobo」も利用率が伸びており、インプレスR&D の調査では13年4月には7.6%だったものが、10月には11.9%にまで伸びている。「楽天kobo」に関しては、その知名度もどんどん上昇しているので、来年以降もその利用率は伸び続けることが予想される。
14年以降も、出版界における電子化の流れは、当然続くことと思われる。しかしそれがトレンドとなり、そして定番となるまでにはまだまだ数多くの紆余曲折があることが予想される。そうしたことを想定して普及に向けての息の長い取り組みを行うことが、電子書籍業界には求められることだろう。(編集担当:滝川幸平)