関電、4月より首都圏での電力小売りを開始

2014年03月23日 23:15

 関西電力<9503>は子会社である関電エネルギーソリューション(略称Kenes、大阪市)を通じて、4月1日から首都圏での電力の小売りを開始するとの発表を行った。オフィスビルなど10数件の顧客に対して電力の供給を行う。供給する電力は工場の自家発電設備により調達する。このように供給区域をまたいで首都圏で電力の小売りを行うのは、大手電力会社の中では中部電力<9502>に続いて2社目となる。また関西電力としては、供給区域以外での電力の小売りは初めてのこととなる。販売される電力量は公表されていない。販売が好調に推移するようであれば、今後火力発電所や水力発電所の新設も検討するとしている。

 2013年の9月に新電力(特定規模電気事業者)の届け出を済ませていた関電エネルギーソリューションは、首都圏への進出に対して準備を進めてきていた。発電事業者からの買取や、日本卸電力取引所を活用することで当面の供給力を確保できる見通しがついたため、4月1日から首都圏での電力小売事業を開始する運びとなった。

 関電エネルギーソリューションは、01年に関西電力が設立した100%子会社で、設立当初はガスの小売りとコージェネレーションシステムの販売を主に行っていた。その後、太陽光発電事業に参入する一方、14年2月に、関西電力グループにて風力発電や熱供給事業を担っていた「関電エネルギー開発」と合併し、そのエネルギー供給体制の強化に努めた。

 首都圏における電力小売りに関しては、すでに中部電力が13年10月に新電力のダイヤモンドパワーを買収し進出を果たしており、国内の電力販売量の3分の1のシェアをほこる東京電力<9501>と顧客獲得競争を繰り広げており、関西電力も今回の進出により、その競争に参加することとなった。

 首都圏は電気販売における国内最大市場である。すでに進出を果たしている中部電力や、今回進出するとの発表を行った関西電力以外にも、大阪や愛知に火力発電所を持つ大阪ガス<9532>も首都圏への参入に意欲的な姿勢を示している。こうして大手の参入が続けば、値下げ競争に繋がるのではないかとの予想もなされている。(編集担当:滝川幸平)