生誕40周年を迎えた、世界の小型車のベンチマーク「VWゴルフ」

2014年04月06日 21:19

Golf_History

昨年(2013年)5月、あいにくの雨の中、7thゴルフの日本発表会場前に並んだ歴代7車。

 1974年3月29日、量産型「フォルクスワーゲン(VW)ゴルフ」が独・ウォルスブルグの本社工場でラインオフした。数十年にわたり主要モデルであるRR(リヤエンジン・リヤドライブ)車の「ビートル」を作り続けてきたウォルフスブルグ工場が、本格的なエンジン横置きのFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車を生産するという新しい時代を迎えたのだ。

 今年2014年、そのゴルフが生誕40周年を迎えた。これまで、3000万台以上が世界各国のユーザーに届けられ、歴代ゴルフは、パッケージやメカニズム、安全装備や快適装備などで、つねにその時代をリードし、技術的最先端を走ってきた。

 初代のデザイン・設計には、累計生産台数2150 万台以上生産した「ビートル」の後継モデルとして高いハードルを超えるため、ジョルジェット・ジウジアーロ氏とVW社内デザインチーム、そして精鋭エンジニアが「ゴルフ」の誕生に携わった。

 出来上がった初代ゴルフは直線基調でモダンな合理主義に徹したスタイリングで、当時「クラシック」の域に達していたビートルとは、すべてが異なる新しい時代のクルマだった。

 FF方式、フロントに横置きされた水冷直列4気筒エンジンの基本設計、前マクファーソンストラット独立式/後トーションビーム&トレーリングアーム半独立式のサスペンションなどのメカニズムはすべて刷新され、すべてがビートルと異なっていた。

 初代ゴルフのボディサイズは全長×全幅×全高3705×1610×1410mm、ホイールベースは2400mm。現在のVWポロよりもコンパクトなクルマだった。が、室内スペースは、エンジン横置き/前輪駆動のおかげでビートルに比べて格段に広く、ハッチバックとシングルホールディング式のリヤシートのおかげでステーションワゴン並みに大きな荷物を載せることができた。後に“ゴルフマジック”と呼ばれ、現在では世界のコンパクトカーが採用するシートアレンジだ。

 初代の車両重量が800kg弱と、現代のクルマと比べるとずっと軽量だった。そのため、50~85psの搭載エンジンでも、俊敏で楽しい走りを楽しむことができた。全長が短いクルマながら、前輪駆動は高速安定性にすぐれ、ドライバーズカーとして、その資質の高さが賞賛された。

 また翌年に衝撃的なデビューを飾ることになる「GTI」によって、スポーツハッチバックというジャンルを築いたのもゴルフだった。その後ゴルフは高い信頼性、合理的な駆動システム、優れたスペース効率、特徴的なデザインが消費者の支持を得て、2年後の1976年に早くも100万台生産記録を達成するのである。

 また、ゴルフの軽い重量や効率的なエンジン、当時のクルマとして良好なエアロダイナミクスなどで、燃費効率でも、小型車のベンチマークとなった。初代ゴルフがデビューしたのは、1973年に起きた第一次オイルショックの直後で、燃費に対する関心が高まった時代だった。初代ゴルフの誕生から4年後、VWは画期的な小排気量の乗用車用ディーゼルエンジンを開発し、それを積んだゴルフDは多くの人々から賞賛されることになった。

 日本におけるゴルフの歴史は、ヤナセによる1975 年の初代「ゴルフ」の輸入で始まった。この欧州ベストセラーモデルは、国内でも日本自動車輸入車組合(JAIA)が1988 年に統計を初めて以来26年間、ゴルフ・シリーズとして販売No.1 をキープする日本でもっとも売れている輸入車として記録を伸ばし続けている。昨年秋、ゴルフは「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の34年の歴史上で初めてを輸入車として「イヤー・カー」なった。

 7世代目にあたる現行ゴルフは、2012年秋のドイツ発売に続いて、翌年6月に日本でもデビュー。新しいモジュール戦略(MQB=モジュラートランスバースマトリックス)により開発された初めてのフォルクスワーゲン車として、プレミアムカーに匹敵する内外装の品質、クラス最高レベルの安全装備、大幅な軽量化と燃費の向上を実現した。

 現在、7世代目に至るゴルフの世界累計販売台数は3000万台を超えている。(編集担当:吉田恒)