様々な疑惑で世間を騒がせてきたSTAP細胞。独立行政法人理化学研究所は31日、STAP細胞についての疑惑についての調査結果を発表、2件について不正があったと発表した。
不正があったと結論されたのは、「論文1:Figure 1iの電気泳動像においてレーン3が挿入されているように見える点」と「論文1:Figure 2d, 2eにおいて画像の取り違えがあった点。また、これらの画像が小保方晴子氏の学位論文に掲載された画像と酷似する点」の2件。
「論文1:Figure 1iの電気泳動像においてレーン3が挿入されているように見える点」については、論文に掲載された画像が、2枚の別々に電気泳動されたゲルの写真から作成された合成画像であることは、画像の詳細な解析から間違いないとした。
また、異なるゲルのデータをあたかも1枚のゲルで流したかのように錯覚させるだけでなく、データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせる行為である。当時の小保方氏には、このような行為が禁止されているという認識が十分になかった。T細胞受容体遺伝子再構成バンドを綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工であり、その手法が科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白である。よって、改ざんに当たる研究不正と判断した。
しかし、改ざんされた画像は、小保方氏が行った実験データを元に、小保方氏が作成したものであり、笹井、若山、丹羽の三氏は、この実験および画像データ作成に関与していない。三氏は、小保方氏から、論文投稿前に、すでに改ざんされた画像をその事実を知らされないまま示されており、この改ざんは容易に見抜くことができるものではなかったことなどから、三氏については、研究不正はなかったと判断されるとした。
「論文1:Figure 2d, 2eにおいて画像の取り違えがあった点。また、これらの画像が小保方晴子氏の学位論文に掲載された画像と酷似する点」については、データの管理が極めてずさんに行われていたことがうかがえ、由来の不確実なデータを科学的な検証と追跡ができない状態のまま投稿論文に使用した可能性もあるとした。しかしながら、この二つの論文では実験条件が異なる。酸処理という極めて汎用性の高い方法を開発したという主張がこの論文1の中核的なメッセージであり、図の作成にあたり、この実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったとは考えがたいという。
また、論文1の画像には、学位論文と似た配置の図から切り取った跡が見えることから、この明らかな実験条件の違いを認識せずに切り貼り操作を経て論文1の図を作成したとの小保方氏の説明に納得することは困難である。このデータは STAP 細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、その危険性を認識しながらなされたものであると言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研究不正と判断したとした。
これに対し、渦中のチームリーダー小保方晴子氏は1日、「悪意のない間違い、であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたこととても承服できません。近日中に、理化学研究所に不服申立をします。このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず、到底容認できません」とコメントを発表した。
どうやら今後の焦点は、「悪意」があったか、なかったか、になりそうだ。しかし、STAP細胞自体の真偽については、未だに不透明だ。理研も調査はあくまでも、今回の論文に対してであり、STAP細胞自体の真偽については、はっきりしていない。いずれにしても、研究機関の審査や管理のずさんさが原因での不祥事。理研のみならず、研究機関全体のあり方が問われている。(編集担当:慶尾六郎)