日本初の新元素誕生の期待 理科学研究所

2013年08月04日 19:43

 理化学研究所(以下、理研)は、2004年、05年、12年の3回「113番元素」を作り、現在国際学会の専門家が、データの検証を進めている。早ければ年内にも結論が出る予定。この理研の主張が認められれば、日本初の新元素誕生となる。

 新元素を作るときは、元素と元素とを勢いよく衝突させ、融合反応を起こさせなければならない。安定している元素同士を近づけると、反発するため、融合にはもの凄く強い力がいる。

 こうした衝突実験では、ごくまれにしか新元素は生まれないという。原子を衝突させた回数は、計約500兆回になる。

 理研は、強いビームを作り出せる強力な「重イオン線形加速器(RILAC)」で、30番元素の亜鉛を、光の速さの約10分の1のスピードまで加速。これを83番のビスマスに照射して衝突させ、「113番元素」を作った。加速器以上に検出装置のよしあしが成功のカギを握るという。

 元素とは、水素や酸素、金、鉄など物質を構成する基本的な要素。「113番元素」はその状態でいられる時間、つまり新元素の寿命は約0.002秒と短く、直ぐに、111番元素のレントゲニウム(Rg)になる。

 元素は、原子番号(陽子の数)の順番で並べた周期表、最も軽い水素から未認定を含めて118番までが示されている。これらすべてが自然界で見つかったわけでなく、93番以降は、実験で作り出したものだ。

 新元素かどうか確認するのは、科学者の国際組織「国際純正・応用化学連合(IUPAC)」と「国歳純粋・応用物理学連合(IUPAP)」の作業部会。

 申請内容が認められれば発見したチームに、新元素の命名権が与えられる。理研は、06年、07年に申請したが、観測結果が2回と少ないなどを理由に、認定されなかった。そして012年5月に3回目の申請を行い、10月に3回目の観測データを追加資料として提出した。

 米国、ロシア両チームも狙っているが、衝突させるのに適した元素がなく、まだ基礎実験で、実験条件を探す段階だ。その意味でも今回の申請認可の可能性は高く、認可されれば、日本の科学者にとって百年越しの夢がかなう大発見となる。(編集担当:犬藤直也)