若者の「ガム離れ」、車運転せず、節約志向も影響か

2014年04月10日 08:54

 ガムを噛む若者が減っている。日本チューインガム協会のデータでは、この10年でガムの小売金額は3割減少。最近では若者を中心に顕著な「ガム離れ」が起きているという。

 ガムの小売金額は、05年から前年比マイナスに転じた。市場が縮小を始めた05年、全日本菓子協会は「菓子統計」において、ガムが売れなくなった理由を次のようにコメントしている。「昨年まで勢いのあったボトルタイプのガムが消費者に一巡した」。さらに06年には、「生産・販売金額の大きなウエイトを占めるキシリトールガム、中でも高額のボトルタイプ商品の需要が一巡」。キシリトールやボトルタイプガムの流行後、新たな起爆剤がないという理由が大きそうだ。

 近年は、若者を中心に「ガム離れ」が広がっている。09年、ガム業界にとっては久々のヒットとなったロッテの「Fit‘s」シリーズ。同社の開発担当者は、日本食糧新聞社のインタビューで「10~20代のガム離れ」を指摘している。最近の若者はガムよりも、タブレット菓子やグミなどを好む傾向にあるという。さらにガソリンの値上げやリーマンショック後の景気悪化で「外食離れ」が進んだことも、若者のガム離れに拍車をかけた。運転中や外食後など、ちょっとした隙間の時間に、口中をスッキリさせるために食べるガム。外食離れや運転離れが進めば、必然的にガムを噛む機会も減るというわけだ。

 日本菓子協会は2年前、ガムが売れなくなった理由を「若年層の車離れ」と分析。震災後、遠出を控える風潮が高まり運転機会が減ったことも、ガムの売上減につながった。カテゴリー別にみると、近年はフルーツ系商品の売れ行きが厳しく、「主に若年層ユーザーの購入減少が目立つ」という。嗜好品への出費を控える「節約志向」も、ガム業界にとっては逆境だ。菓子協会は昨年、「チューインガム本来の『噛む楽しさ』の啓発に取り組む」とコメントしているが、若者が再び「噛む楽しさ」に目覚める日は来るのだろうか。(編集担当:北条かや)