もうすぐ入学式シーズン。大学などでは、サークルや部活の新入生歓迎会が盛り上がる。一方で毎年のように、学生が飲酒事故で命を落としているのも事実だ。
飲酒の強要などで子を亡くした親たちでつくる「イッキ飲み防止連絡協議会」では、93年から「イッキ飲み防止キャンペーン」を展開。22回目となる今年もポスターやチラシを作成し、全国の大学に配布するなどしてイッキ飲みの危険・防止を訴える。
赤く目立つデザインの啓発ポスターには、「本当にあった こわい飲み会」の文字。「春の合宿で上級生が下級生を一列に並べ、焼酎の回し飲みを指示。空になるまで飲まなければならなかった」「大人数が参加したコンパで、ゲームで負けた人がお酒を飲むルールで酔い潰れた挙げ句、放置される」こうした行為が飲酒事故の温床となっているにもかかわらず、イッキ飲みやそれを煽る「コール」が「伝統」とされている部活やサークルが未だに多く存在する。犠牲者は、「強要があったわけではなく自主的に飲んだ」とされ、周囲の責任がうやむやにされることも多い。
同協議会では10年度より「全国学生アルコール・ハラスメントWEBアンケート」を実施。今年も419件(男性228人、女性188人)の回答が寄せられた。それによると、1年以内に「アルハラに遭った」「アルハラかどうかはわからないが、場の雰囲気で飲まされたことがある」と答えたのは55.1%。キャンペーンに興味のある層からの回答であるため、同協議会によると「実態はこれをかなり上回るものと想像できる」という。
「アルハラを断ることができるか」と尋ねたところ、33.9%が「断れない」、26.7%が「わからない」と回答した。「ノリが悪い・空気を読めないと思われたくない」などの理由が目立つ。こうした「飲酒を強要する雰囲気」自体がハラスメントなのだが、断れない学生は多い。
これ以上若い命が奪われないためにも、イッキ飲みを「通過儀礼」か何かのように勘違いしている若者、そして大人たちが意識を改めるよう、地道な啓発活動が重要であるのは言うまでもない。(編集担当:北条かや)