スマホの成長は一段落し、ハンドセットの出荷も頭打ちとなる。今後はMVNOサービスが成長する。株式会社矢野経済研究所は9日、「携帯電話の国内市場に関する調査結果2014」を発表した。
この調査は、調査期間は2013年11月~2014年3月、調査対象は国内携帯電話メーカー、海外携帯電話メーカー(日本法人)、国内移動体通信サービス事業者、 国内半導体メーカー、通信事業者、関連業界団体など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査にて携帯電話国内市場を調査した。
これによると、2014年度(2015年3月期)における国内移動体通信サービス累計契約数は1億5993万4900契約と予測した。スマートフォン新規契約における成長率の鈍化が見込まれる一方、自社で無線基地局を保有せず、移動体通信事業者より通信回線を借り受けて自社ブランドで携帯電話サービスを提供する通信事業者であるMVNOのサービス契約、ならびにスマートフォン向けにLTEとBWA(広帯域移動無線アクセスシステム)を組み合わせたサービスの契約数増加が期待されるとした。
スマートフォンが急速に普及し、通信トラフィックが増大した結果、通信事業者間の契約獲得競争において「回線の品質(つながりやすさ)」が重視されるようになった。そのため、今後高速化が遅れている周波数帯の改善が進められるのと同時に、20年の「東京オリンピック」開催に向け、通信事業者各社は前倒しで第四世代携帯電話サービス(4G)の導入を進め、15年度から16年度にかけて4Gの運用が開始される。
しかし、こうした取組みは全体の契約数増加への大きな貢献は期待できず、緩やかな成長にとどまるものと考えるとした。20年度における国内移動体通信サービス累計契約数は1億9634万4900契約と予測している。
スマートフォンの月額利用料金の負担が大きいと感じる消費者が増えていることから、「格安SIMカード」を提供するMVNOサービスへの注目度が急速に高まっているという。二つ目の回線に格安SIMカードやタブレット、モバイルルーターを組み合わせて使用するユーザーが増加している。また、最近では、MVNO 事業者自らが、スマートフォンとSIMカードをセットで提供している。このため、14年度(2015年3月期)におけるMVNOサービス累計契約数は1970万契約が見込まれ、移動体通信サービス全体に占めるMVNOサービスの割合は12.3%に達すると予測した。
今後、通信事業者によるMVNO事業者への回線卸売価格の値下げを背景に、MVNOデータ通信サービスの低価格化や、消費者の多種多様なニーズ・利用方法に沿ったサービスが提供されることから、さらなるMVNO市場拡大が期待されるという。20年度におけるMVNOサービス累計契約数は5500万契約、移動体通信サービス全体に占める MVNOサービスの割合は28.0%になると予測した。
また、14年度の国内ハンドセット(フィーチャーフォン及びスマートフォンの合計)出荷台数は前年度比0.8%減の3327万台、内訳はフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)が同17.5%減の396万台、スマートフォンが2%増の2931万台と予測した。(編集担当:慶尾六郎)