東京電力<9501>は11日、2014年度中に入札により計約600万キロワット分の火力発電所の建設・運営事業者を募集すると発表した。来月3月をめどに落札者を決定するとしている。原子力発電所の再稼働の見通しが立たず、電力の供給力が不足するなか、コストを抑えつつ安定電源を確保したい考えだ。
13年度に実施した入札により、東京電力は260万キロワットの火力電源の調達を目指したものの、上限価格を低く抑えていたため68万キロワットしか集めることが出来なかった。
今回募集するのはその不足分200万キロワット弱と、新再建計画にて打ち出していた1000万キロワットの老朽建て替えの一部である400万キロワットを合わせた、計約600万キロワットだ。これは四国電力<9507>の発電設備に相当にする大規模な電力である。石炭や液化天然ガス(LNG)を燃料とする稼働率70~80%の「ベース電源」で、19年度から24年度のうちに供給を開始するその約600万キロワットを一括で入札募集する。
入札については今月の21日に事前説明会を開催し、6月下旬以降に募集を開始する予定だ。そして来年1月までに落札者候補を決定し、その後3月をめどに落札者を決定するとしている。政府の方針変更に伴い、13年の入札時には示されていた上限価格に関しては今回は非公表となる。そして物価や金利の変動を建設費に反映出来るようにするなど、条件の見直しも行われた。
入札を実施するのは、去年4月に導入された社内カンパニー制により発足された「カスタマーサービス・カンパニー(小売り担当)」で、火力発電担当の「フュエル・アンド・パワー・カンパニー」が他の会社と共同で応札する。しかし東京電力は12年7月末に原子力損害賠償支援機構を通じて1兆円の公的資本注入を受けており、そうした資金不足から共同応札では少額出資となるとみられる。
また今回の入札では液化天然ガスの募集もあることから、ガス会社なども強い関心を示しているようで、2年後に予定されている電力小売り全面自由化を前に、異業種の電力事業への参入はますます進行することが予想される。
なお、前回落札した中部電力<9502>、新日鉄住金<5401>、電源開発<9513>の3社については、今回も落札した際には前回分を辞退することが出来る。(編集担当:滝川幸平)