26日、関西電力<9503>は、150万キロワット程度の火力発電所を建設する方針を固めたことが分かった。2014年度中に入札を実施すると発表。20年代の前半までに新しい火力発電所からの電力調達開始を目指す。
関西電力が新設を計画している大型の火力発電所は、外部の企業に建設や運営を委託する競争入札方式をとり、コストの安い石炭火力になる見通し。電力自由化を受けて、発電コストを下げることにより競争力を高めたい狙いがあるようだ。火力発電所新設の総事業費は2000億円程度になる模様だが、国内の原子力発電所の再稼働が遅れている今、電力の安定供給のためには割安な石炭火力の発電所の新設が不可欠と判断した。
14年度から入札準備を開始し、20年代の前半の稼働開始を目標としている。新設される火力発電所の出力は、大型原子力発電所1基分に相当する150万キロワット規模。建設費は2000億円程度と予想されているが、関西電力は競争入札方式により建設費や運営費といった総コストを最大1割程度抑えられるとみている。また、その新しい火力発電所が完成した後には、これまでの古い火力発電所に関しては、発電効率が悪いという理由から休止する方針だ。
関西電力としては、原発の再稼働も遅れていることから、老朽化の進む火力発電所の更新を推し進め、燃料費の削減につなげたい考えがあるようだ。
関西電力を含む電力会社各社の電気料金は、円安影響による液化天然ガス(LNG)輸入価格高騰により、過去最大の水準になっている。さらには16年に実施される家庭向け電力小売りの全面自由化を受け、異業種の参入も進んでおり、これからさらに価格競争が激しくなるのは間違いない。こうした現状を鑑みて、関西電力としてはコストを抑えることの出来る石炭火力を積極的に活用するべきと考えたようだ。
11年3月に発生した東日本大震災前まで、関西電力の発電量の4割程度は原発が占めていたが、今は8割以上が火力によりまかなわれている。石炭火力は、石油火力の3割弱、液化天然ガス火力の4割程度の燃料費に抑えることが出来る。(編集担当:滝川幸平)