近年、電力需要のピーク対策や、導入が進んでいる太陽光・風力発電など再生可能エネルギーにおける発電量の変動に対する安定化対策、停電や災害時などの電力供給確保など、電力系統用として大規模な蓄電システムの需要拡大が見込まれている。また、電力系統用の蓄電システムは、大容量の電力を効率的に安定供給する必要があるため、高い安全性と信頼性が求められている。
ソニー<6758>とカナダ最大の電力会社であるハイドロ・ケベック社は16日、主に電力系統用の大規模蓄電システムに関して研究・開発する合弁会社の設立について合意したと発表した。2014年6月に新会社を設立する予定。
新会社は、ソニーが有する安全性・信頼性の高いオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池と拡張性の高い蓄電モジュール・システムの制御技術、及びハイドロ・ケベックが有する電力系統の運用・制御技術とリチウムイオン電池材料技術を活用する。
これらの技術を組み合わせることで、大規模な用途でも高い安全性と信頼性を実現するシステムに加えて、電力系統用に適した電池材料技術の研究・開発を行い、変電所におけるピーク対策や再生可能エネルギーの系統連系など、拡大するさまざまな用途への有効性の検証を行う方針だ。
社名は現在未定で、2014年6月に設立の予定。本社所在地は、カナダ国ケベック州ヴァレンヌ市。事業内容は電力系統用蓄電システムと電池材料技術の研究・開発である。
ハイドロ・ケベックは、ケベック州政府が株主である、発電、送電、配電事業を手がけているカナダ最大の電力会社。世界有数の水力発電会社の1つでもある。同社は主に再生可能発電、特に水力発電を活用し、風力やバイオマスなど他のエネルギー源は独立発電事業者から購入することで、開発をサポートしている。同社の研究機関IREQは、電力の効率化と蓄電などを含むエネルギー関連領域の研究開発を行っている。研究に毎年1億ドルを投資しているという。(編集担当:慶尾六郎)