プラズマディスプレイ(PDP)は、自発光型で大型化が比較的容易なフラットパネルディスプレイ(FPD)だ。かつては、TVを中心とした主に40型以上の大型ディスプレイの最右翼として、大画面はPDP、中小型はLCDという住分けがあった。その戦略のもと、参入各社が競争を繰り広げてきた。
しかし、PDPは高価格であることやLCDの大画面化が予想以上に進んだことで、衰退の一途をたどってきた。今回、最後のメーカーとなったパナソニックの生産工場が売却された。これで、ついにPDPの幕は閉じたことになる。
バナソニックプラズマディスプレイ株式会社(PPD社)は31日、株式会社センターポイント・ディペロップメント(CPD社)に、PDP第5工場(兵庫県尼崎市)の建物を売却することを決定し、譲渡契約を締結したと発表した。PDP第5工場のCPD社への売却金額は20億円、譲渡時期については、今後必要な手続きなどを進め、2014年9月末を予定。同社は、すでに昨年10月にPDPの生産終了を発表、第5工場は2012年3月に生産を倅止し、13年12月には、全生産を終了していた。
同社は、2001年6月PDPの量産を開始した。しかし、LCDの大型化の急速な進展に加え、08年9月のリーマン・ショックを契機としたグローバル市場での厳しい価格競争に直面したことで、第4工場に生産機能を集約するとともに業務用途へと事業転換を進めながら収益改善に取り組んできた。しかし、需要の減少などにより、事業継続は困難であると判断し、生産終了を決定、そして、今回の工場売却にいたった。
かつては、ソニー、日立製作所、シャープ、東芝、パイオニアなど国内大手各社が開発を競ったPDP。最大のネックとなったのはコストである。TV用のPDPの初期製品では40インチサイズで100万円以上と高価格だった。このため、各社とも「1インチ1万円」を目標に開発を進めた。しかし、需要は激減し、各社とも撤退するにいたった。そして、最後に残ったパナソニックも今回工場売却で完全に終了、日本国内でのPDPは幕を閉じた。(編集担当:慶尾六郎)