高齢化の進展に伴い、介護サービス市場も拡大している。17年度には約200億円に拡大する見込みだ。矢野経済研究所は23日、国内の介護システム市場に関する調査結果を発表した。
この調査は、調査期間は2013年12月~14年2月、調査対象はソフトウェアメーカー及びサービス事業者など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、郵送によるアンケート調査、電話によるヒアリング、文献調査併用である。
この調査における介護システムとは、さまざまな介護サービス事業所を対象とし、介護保険請求業務やケアプランを始めとする各種帳票類作成・管理業務等の支援を行うシステムを指す。ただし、国民健康保険中央会が提供する簡易な保険請求機能やデータ伝送機能を持つ国保連介護伝送ソフトは含まない。
この結果、13年度の介護システム市場(パッケージソフトウェア+ASP サービス)は、介護保険制度や介護報酬の改正による改修ニーズなどの反動が見られた12年度からプラスに転じ、前年度比105.5%の169億6400万円を見込んでいる。
ASPサービスが急速に普及拡大したことで、高額なパッケージソフトウェアの導入が困難であった小規模な介護サービス事業所を中心とした未導入事業所での導入が促進された。また、ASPサービスの高機能化が進み、パッケージソフトウェアとの機能差は縮みつつあり、大規模な介護サービス事業所での利用も徐々に増加しているとした。
同社は、日本国内の介護サービス事業所数は増加傾向にあり、比較的小規模な事業所の新規開設は続いていくと考えているという。今後、新規開設事業所での新規導入や、現在介護システム未導入の介護サービス事業所での新規導入、既存ユーザーの介護システムリプレイス(代替)導入のいずれにおいても、ASP サービスが選択される傾向は更に強まると推測している。
また、厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムでは、介護サービス事業所で所有する利用者情報や介護(ケアサービス)記録などを、当該地域内で情報共有するためのネットワークを構築する必要があり、これらのシステムにおいてもASPサービス利用が選択される可能性が高いと考える。その結果、今後の介護システム市場では、パッケージソフトウェアが減少する一方で、ASPサービスについてはさらなる拡大が見込まれるとした。
これにより、14年度の介護システム市場(パッケージソフトウェア+ASPサービス)は、次期介護保険制度改正・介護報酬改正のためのシステム需要により、前年度比109.9%の186億3500万円になると予測した。15年度はその影響で前年度比93.9%と落ち込むものの、以降も市場はASPサービスを中心として順調に成長を遂げ、17年度の同市場規模を196億円になると予測している。 (編集担当:慶尾六郎)