今や日本人の4人に1人が、65歳以上の高齢者。10年後には団塊世代が一斉に75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」も控える。
労働力人口が減るため、政府は高齢者の活用に力を入れる。昨年4月には「高年齢者雇用安定法」が改正され、企業には、意欲のある高齢者を厚生年金の支給開始年齢に達するまで雇用し続けることが義務付けられた。
定年後も働き続けたいと願う人は多い。高齢社会の諸問題を研究する「公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団」の調査では、「定年後も働きたい」と答えた56~60歳の男性が7割近くに達した。女性も約半数が勤務延長・再雇用制度などを使って、定年後も働きたいと考えている(調査対象は全国の15企業に勤務する男女4320人)。
彼らが定年を迎える頃、親は「後期高齢者」だ。最近では元気なお年寄りも多いが、一般的には75歳以上になると急速に体力が衰え、介護が必要なケースが増える。調査では56~60歳の人のうち、「現在介護が必要な親がいる」割合が23.5%。将来の可能性も含めた「介護リスクのある親がいる」割合は51~55歳の人で最も高く、51.4%に達した。
近い将来、親の介護が中高年にとって大きな課題となるだろう。組織の中核人材である「管理職」も例外ではない。調査では51~60歳の「管理職」のうち、「介護リスクのある人数」が「1人」とする割合が21.1%、「2人以上の複数人」が31.6%。あわせて52.7%と過半数が介護リスクを抱えていることが分かった。多くの管理職が、親の介護のために職責を全うできなくなる可能性がある。
介護には、男女ともに様々な負担がのしかかる。財団の調査によると、親が介護状態にある人は、そうでない人より「身体的・精神的健康」が悪いと判明した。介護休暇制度の利用率も極端に少ない。超高齢社会を迎え、仕事と介護の両立支援、そして介護を担う側の精神的なケアなど、各種制度の整備は待ったなしである。(編集担当:北条かや)