65歳以上の高齢者割合は過去最高の25.1%に達し、超高齢化社会の様相が年々鮮明になってきている。2025年には65歳以上人口は3657万人に上ると推定され、1人の高齢者を1.8人の現役世代が支える計算だ。
一方で介護を担う人材不足は深刻で、外国人労働者の活用やロボット技術の導入など様々な施策が講じられているが、根本的な解決への道のりは遠い。老後の我が身を守るのはやはり自分自身の責任ということだろうか。
世界に誇る我が国の平均寿命だが、平均寿命に対して健康寿命という言葉がある。健康寿命とは「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のこと」だ。我が国の平均寿命は世界でもトップクラスだが、平均寿命から健康寿命を引いた年数を見ると、男性で約9年、女性約13年となっている。つまり、健康を損ない、介護状態となって生き続ける年数が、平均して10年前後はあるということだ。
せっかくの長生きも、寝たきりになってしまっては意味がない。そうはならないために行政や医療関係者をはじめて様々な取り組みが進められている。そんな取り組みのひとつが、日本整形外科学会が提唱する「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という新概念だ。
学会では運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態を表す新しい言葉としてロコモを提唱している。ロコモは、「メタボ」や「認知症」と並び、「健康寿命の短縮」、「ねたきりや要介護状態」の3大要因のひとつとなっている。このロコモを予防することで要介護状態となることを防ごうと、「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」のパンフレットを作成するなど普及啓発を行っている。
2007年に学会が提唱し始めたロコモだが、一般の認知度はどうだろうか。ドウ・ハウスの調査では、50歳以上のシニア層の認知度は37.4%と3分の1程度に留まっているが、昨年よりは1割増加しており徐々に認知されてきているようだ。
超高齢化社会と比例して進む独居高齢者の世帯数。大家族で1、2人の高齢者を支える時代はとうに終わり、老後の不安は誰にも付きまとう社会問題となっている。ロコモの概念もそうだが、自身の身体をできるだけ健やかに保ち、要介護になる時期を少しでも遅らせる努力が欠かせない。(編集担当:横井楓)