労働力を確保せよ! 助っ人外国人は日本を救うか

2014年04月20日 19:04

 東京オリンピックやパラリンピック開催に向けての首都圏での都市開発ラッシュ、そして今も続く東日本大震災の被災地復興需要など、現在建設業界は未曾有の人手不足に見舞われている。

 このような状況に対し、政府は海外からの労働者受け入れ拡大を決定した。技能実習制度によって3年間日本で働いた人が追加で2年間働けるようにするほか、実習後に帰国した人についても最長3年間の再入国を認めることにしたのだ。建設業界には現在約1万5千人の外国人労働者がいるが、これを最大で2倍にまで引き上げようという狙いがある。これらの措置は2020年までの特別措置となってはいるが、雇用する側とされる側のニーズが合致した場合、更なる延長や恒久的な制度となる可能性も当然否定はできない。

 また、労働力不足といえば介護業界も挙げられる。団塊の世代が75歳以上となる2025年には最大で100万人もの労働力が不足すると試算されているからだ。

 介護業界は経済連携協定(EPA)によってフィリピンやインドネシアから労働力を確保しようと動いている。明るく、パワフルな人柄が多いこれらの国の人々には大きな期待を寄せているのだ。
 
 しかし、現実的にはまだまだ制度上の問題点も多く受け入れ人数は伸び悩んでいる。EPA経由では最終的に国家試験に合格しなければ介護福祉士として日本では働き続けられないなど、高いハードルが存在するためだ。更に、言葉の壁や実際に介護を受ける介護施設利用者の意識も、外国人介護福祉士に対して全てが好意的な物ばかりとは言えないようだ。

 経済的な合理性だけを考えれば、単純労働や介護等の分野においてモチベーションの高い外国人労働者を迎え入れようという動きは正しいのかもしれない。しかし、彼らが正式な移民となり、日本国内において一定割合以上のボリュームを持てば当然、政治や文化といった面でもそれなりの発言力を持つようになるだろう。

 外国人労働者や移民によって例えば日本の治安が悪化する等と考えるのは短絡的過ぎる思考かもしれない。しかしこの日本という独特の文化を持つ国で、ある意味純粋培養されてきた多くの国民と彼らは「大きく違う」ことは確かだ。
 
 「経済的にプラスであることは即ち国益に適う」と単純に考えてもよかったのはもはや過去の話なのかもしれない。日本は今後どんな国を目指すべきなのか。物質的な豊かさの他に新たな価値基準となる物差しは必要なのか。また、必要なのであればそれは一体どんな物なのか。移民政策に関する議論の過程において、日本人は新たなアイデンティティの確立を自らに問うことになるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)