日本では毎年70万人以上ががんと診断され、がんが原因で毎年30万人以上が亡くなっている。また、がん治療に当たる医師は約11万人と推定されている。これほど多くの患者が存在し、多数の医師が治療に取り組んでいるにも関わらず、最新のがん治療に関する情報共有は医師の間では効率的に行われていないという課題がある。治療方法の進歩スピードが速いのに対して、それを伝える情報伝達の方法が充実していないことなども要因だ。
こうした課題を解決するために、インターネット分野でノウハウを持つデジタルガレージは、ニュース・サービス・センターと共同で設立したシーアイワークスを通じ、がんの治療情報に特化した医療ナレッジの提供サービス「CIWorks」を5月から開始する。
今回立ち上がったCIWorksは、がんの臨床治療に役立つ最新の知見をより多くの医師に広めるプラットフォームを構築することを目指す。その核として、日本のみならず欧米の学会などで発表される最新の研究成果の中から、より臨床現場で有用なものを峻別し、その背景を含めて分かりやすく解説したコンテンツを掲載する。
こうしたコンテンツの作成に当たり、日本においてがん治療の中心的な役割を担う医療機構に所属する20名以上の医師や専門家の協力を得て、肺がんや消化器系がん、泌尿器系がん、乳がんといった、患者数の多い固形がん種を中心に分野に絞り込んだトピックの提供や参考論文の推薦、臨床情報の提供などを行う方針だ。
同時にサービスに登録した医師の間で有益なディスカッションが生まれる場をサイト内に設けることで、日本全国の臨床現場におけるがん治療のレベル向上に貢献する。
またがん治療に関する最新知見の共有の一環として、各製薬メーカーが開発を進める抗がん剤に関する情報も積極的に提供する。製薬メーカーに対して、サイト内で広告やプロモーションを展開できる広告商品を提供し、がん関連新製品の認知度向上に寄与する。また中期的には、サイト内に掲載したコンテンツを活用した新薬開発やコンサルティングサービスの提供などを通じて、医師、製薬企業、医療機関の三者間の相互コミュニケーション促進を図って行く。
近年、医療技術の進歩は実に目覚ましく、がん治療の分野でもそれは例外ではない。今回のサービスでは、特に国内のみならず欧米の学会情報なども提供されるとあり、最新の情報を必要とする現場の医療従事者に有益な情報がもたらされることを期待したい。(編集担当:横井楓)