パナソニックが黒字回復へ 収益改善策や経費の合理化策が功を奏する

2014年05月03日 10:41

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パナソニックは28日、2014年3月期(2013年4月1日~14年3月31日)の業績を発表した。

 パナソニック<6752>は28日、2014年3月期(2013年4月1日~14年3月31日)の業績を発表した。純利益は1204億4200万円と3年ぶりの黒字となった。

 世界経済は、インドなど新興国の一部で伸び陥みがみられたが、欧州で持ち直しの動きがみられたほか、米国の株高や堅調な個人消費、日本においても株高、円安の進展に加え、消費税増税前の駆け込み需要などかあり、全体としては緩やかな景気拡大が続いた。

 このような経営覆境のもと、同社グループでは、2013年度から新たな中期経営計画「Cross-Value lnnovatlon 2 0 1 5 (CV2015)」をスタートさせ、事業部制を軸とした新たなグループ基本構造のもとで、重点施策である「赤字事業の止血」「財務体質改善」「脱・自脚主義による成長・効率化」「お客様からの逆算による成長戦略」に取り組んできた。

 連結売上高は、円安による押し上げ効果もあり、7兆7365億円(前年比6%増)となった。住宅関連事業が国内の消費税増税前の需要を着実に刈り取って伸長した。車載関連事業もグローバルでの市況回復を背景に伸長した。一方で、デジタルコンシューマー関連事業は、収益重視の事業展開を進めていることから、減収となった。

 営業利益は3051億1400万円(前年比90%増)となった。主に、赤字事業の収益改善や、全社を挙げた固定噺削減および材料費合理化の取り組みなどが存与し、大幅な増益となった。

 営案外損益では、固定資産減損損失等を含む事業構造改革費用2074憧円を営案外費用計上したが、年金制度変更に伴う一時益798億円やヘルスケア事業の売却益787億円を営案外収益に計上したことなどにより、税引前利益は2062億2500万円、また、同社株主に帰属する当期純利益は1204億4200万円(前期は7542億5000万円の赤字)といずれも大幅な増益となり、黒字転換した。

 セグメント別では、アプライアンスの売上高は、1兆1966億円(前年比10%増)となった。中国の家庭用エアコンは苦戦したが、消費脱増税前の駆け込み需要に伴い、日本の売上が増加したことなどにより、増収となった。営業利益は、円安による海外工場からの持ち帰り収支の悪化を、合理化やコスト削減の推進でカバーしきれず、前年から22%減の285億円となった。

 エコソリューションの売上高は、1兆8466億円(前年比10%増)となった。日本の消費税増税前の駆け込み需要の刈り取りなどにより、すべての事業部で販売増となり、増収となった。営業利益は、販売増に加えコスト削減などの取り組みで円安によるマイナスをカバーし、前年から51%増の大幅増益となり950億円となった。

 AVCネットワークスの売上高は、1兆5734億円(前年比3%減)となった。BtoB事業の売上は着実に伸長したが、プラズマディスプレイの事業終息の影響などにより、BtoC事業の売上が減少したことから、減収となった。営業利益は、BtoB事業の増阪に伴う利益増に加え、テレビ・パネル事業などの事業構造改革の効果などにより、前年比159%増の215億円となった。

 オートモーティブ&インダストリアルシステムズの売上高は2兆7376億円(前年比9%増)となった。インフォテインンメント事業部などの車載関連事業の販売が増加したことに加え、円安の効果もあり増収となった。営業利益は車載関連事業が好調に推移したことに加え、円安によるプラス影響などにより、前年比191%増の大幅増益の857億円となった。

 その他の売上高は、9580億円(前年比5%減)となった。12年度に実施した三洋電機株式会社子会社の事業譲渡の影響などにより、減収となった。営業利益は、徹底した固定費削減などにより、前年から488%増の200億円となった。(編集担当:慶尾六郎)