住宅メーカーが打ち出す新たな「付加価値」提案

2014年04月19日 19:19

 消費税率が8パーセントに引き上げられてから半月が経ったが、各業界ではすでに駆け込み需要の反動がではじめているようだ。デジタル家電のマーケティング調査を行う株式会社BCNが発表した4月第1週の速報によると、主要デジタル製品の30カテゴリ中、22カテゴリで前年割れとなっており、テレビが前年比33パーセント減、デジタルカメラが30パーセント減、DVDレコーダーなどの録画機にいたっては41パーセント減と、それぞれ前年を大きく下回っている。

 また、住宅業界では1997年の増税時には、96年度の163万戸から97年度は約30万戸減の134万戸と大きな打撃を受けた。しかしながら、当時と比べ、今回は経済状況が良いことや住宅ローン控除拡大などの政府取得支援策もあり、事情は異なる。さらに住宅メーカー各社もただ手をこまねいて状況に身を委ねているわけではない。より付加価値の高い住宅を開発するなど自助努力で、積極的に購買意欲を喚起している。

 例えば、パナソニック<6752>のグループ企業であるパナホーム<1924>は、強みの一つでもある家電製品と連動したスマートハウス事業に力を入れており、各地で町ぐるみのスマートシティを展開するなど、積極的な販促を行っている。

 一方、積水ハウス<1928>では、高効率・大容量の太陽光発電や燃料電池などによる創エネ、省エネ設備といった先進の技術による高い「経済性」と「快適さ」を追求した鉄骨戸建2階建て住宅「Be mod+e gent」(ビー・モード・ジェント)を3月から投入した。同商品は、緩勾配(2.5寸勾配)屋根に、全量買取制度を選択できる10kW以上の太陽光発電システムの搭載が可能で、標準的な住宅では20年間で約600万円もの売電収入を得られるという。政府が普及を目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」にも対応する環境性能と経済性が魅力の住宅だ。また、耐力壁と制震フレームを重ねる「ハイブリッドシーカス」という構造を使用することで高い制震性能を保ちながら、大きな開口部を設けることができ、開放的な心地よい空間設計が可能だ。

 住宅業界ではとくに、増税前よりも増税後の方がより魅力的な商品が増えており、これらの販売が好調なようだ。

売電収入などの経済的なメリットを考慮すると、環境性能や快適性という付加価値のある住宅を購入しやすくなったとも言え、3パーセントの増税分以上の価値が充分にあるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)