富士通・パナソニック、LSI事業の統合新会社設立

2014年04月24日 10:36

 23日、富士通<6702>とパナソニック<6752>は、半導体システムLSI(大規模集積回路)事業を統合するファブレス新会社に日本政策投資銀行(DBJ)が出資することで基本合意したとの発表を行った。この富士通とパナソニックの半導体システム事業を統合する新会社は、2014年10~12月期に設立と事業開始を予定している。また新会社の社長には京セラ<6971>元会長の西口泰夫氏が就任。年間の売上高は約1500億円規模になるとみられている。

 今年の2月に、富士通とパナソニックは事業統合を発表。出融資を日本政策投資銀行に打診していた。富士通は100%子会社である富士通セミコンダクターが営む半導体システムLSI事業及びその関連知的財産を、そしてパナソニックは自らが営む半導体システムLSI事業及び関連知的財産を新会社に拠出し事業の統合を行い、その対価としてそれぞれが新会社の株式を取得することを検討していた。

 その結果、日本政策投資銀行は新会社設立に係る諸契約締結を前提として、最大200億円を出資し、最大100億円の融資枠を設定することで合意した。この日本政策投資銀行の出資により、事業統合後の新会社の議決権比率は、富士通が40%、パナソニックが20%、そして日本政策投資銀行が40%となる見込みで、独立した企業として事業運営されることとなる。そして新会社の社長には、かつて京セラの代表取締役社長などを務めた西口泰夫氏を迎えることで3社ともに合意した。

 富士通、パナソニック、日本政策投資銀行の3社は、これから詳細条件について合意した上で、14年度第1四半期末をめどに最終契約を締結する予定だ。そしてその後、各国の競争法などの必要手続きを終えた上で、14年度第3四半期で統合を完了し事業を開始するとの計画を立てている。また新会社では数年後の新規株式公開(IPO)を目指し、富士通、パナソニックの両社の優れた経営資源を利益の出る形で集約するとしている。

 その一方、日本政策投資銀行は、今回のような取り組みに対し「競争力強化ファンド」を活用して新会社に対するリスクマネーの供給を行い、日本における半導体システムLSI分野の競争力強化を後押しするとしている。(編集担当:滝川幸平)