2日、ソニー<6758>が同社のパソコン事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに売却することを正式契約したと発表した。7月1日をめどに事業譲渡を行う。譲渡された後の会社の名前は、今のソニーのパソコンブランドと同じ「VAIO(バイオ)」で、製造工場のある長野県安曇野市に本社が置かれる。
この新会社に対してソニーが5%、日本産業パートナーズが95%出資する。現在ソニーのパソコン事業にいる1100人の従業員のうち、約240人が新会社に移る。残りの約860人については配置転換を行うか、早期退職優遇制度により退職するとしている。また転勤が難しい従業員に関しては、ソニーが再就職支援を行うとしている。
新会社「VAIO」の事業開始は7月1日を予定しており、社長にはソニーの構造改革担当の関取高行バイス・プレジデントが就任する。また現在のソニーのパソコン事業の統括役である赤羽良介業務執行役員も移籍し、関取高行バイス・プレジデントを支えとしている。資本金は10億円で、取引完了時の出資比率はソニーが5%で、日本産業パートナーズが95%であり、特別目的会社として運営される。また新会社「VAIO」は、海外事業からは撤退し、国内事業に専念するとしている。
ソニーは今年の2~3月に発売した春モデルを最後に、パソコン事業から撤退する。赤字が続いていたパソコン事業では2014年3月期に、580万台を販売するという計画を立てていたが、春モデルの一部機種でバッテリーが過熱し発火する問題が発生したことも影響して、その売り上げは落ち込み、結果目標販売台数は未達に終ったようだ。
15年3月期も7月1日を予定している事業譲渡まで、パソコン事業の赤字はソニーの連結決算に計上するとのこと。今期に発生する撤退関連の費用の総額は現在精査中であり、5月14日に発表される決算にて公表する予定だという。
そしてソニーは今回の発表に際し、「ソニーは、14年2月6日に発表したとおり、現在各国で販売中の14年春モデルを最後としてPC事業を収束しますが、事業収束後も販売済み商品のお客さまへのアフターサービスは継続いたします」としている。(編集担当:滝川幸平)