ドイツ医薬品大手のバイエルは6日、アメリカの製薬会社大手のメルクの一般医薬品(大衆薬)などコンシューマーケア事業を142億ドル(約1兆4500億円)で買収するとの発表を行った。この買収によりバイエルはその事業規模は74億ドルとなる。またバイエルは、業界トップの米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に次いで世界2位となる。現在、製薬業界ではそれぞれの企業は主力とする分野を絞り込む傾向にあり、業界全体では大規模な再編が進行中である。
バイエルによるメルクの買収は2014年後半に完了される予定で、買収によりそれぞれの会社の事業を統合させる。メルクはアレルギー治療薬の「クラリチン」や日焼け止めの「コパトーン」、そして足のケアブランド「ドクター・ショール」などを保有している。13年12月期の事業売上高は約22億ドルであり、その売り上げの70%はアメリカ国内でのものだった。
またバイエルの一般医薬品事業は鎮痛剤として有名な「アスピリン」や、皮膚薬の「ベパンテン」などを開発しており、世界の多くの国々に販路を持っている。今回の買収により、バイエルは皮膚薬や胃腸薬の領域において業界最大手となり、また北米の一般医薬品市場においてもトップとなる。
バイエルはメルクの薬品を自社の持つ世界各国の販路にて取り扱い、17年までに4億ドルの増収効果を引き出すとしている。またメルクとの事業統合により2億ドルのコストカットも実現させるとしている。
その一方で、メルクは事業の再編を行い、処方箋の必要な医療医薬品に注力するとしている。またバイエルと肺高血圧症治療薬を共同で開発し、新薬開発や販売状況に応じて最大で10億ドルを支払うことに同意した。
製薬業界では世界的に大型再編が進行中であり、先月スイスのノバルティスは英グラクソ・スミスクラインの抗がん剤製品群を145億ドルで買収し、それぞれの会社の一般医薬品事業を合弁化するとの発表を行ったばかりであった。(編集担当:滝川幸平)