王子HD、ニュージーランドの製紙事業を買収

2014年04月30日 07:53

 王子ホールディングス<3861>は25日、東南アジア諸国での事業強化や木材資源ビジネスの強化を目的に、産業革新機構と共同でニュージーランドやオーストラリアに生産拠点を保有する投資会社ランク・グループから、紙パルプ・板紙事業を10億3700万ニュージーランド(NZ)ドル(約923億円)で買収すると発表した。

 買収を行うそれら事業の13年12月期の売上高は約11億4700万ニュージーランドドル(約1021億円)で、革新機構が3億6300万ニュージーランドドル(約323億円)を上限に拠出し、残りを王子ホールディングスが出資する。王子ホールディングスと産業革新機構は、これら事業の受け皿会社を設立し、ニュージーランドとオーストラリアからアジア地域に紙パルプなどを輸出する計画だ。

 買収するのはランク・グループ傘下のカーター・ホルト・ハーヴィー(CHH)社の紙パルプ・板紙・パッケージ部門で、王子ホールディングスと産業革新機構は東京都内に設立した持ち株会社を通じて、それらの事業を取得する。事業の議決権比率は王子ホールディングスが60%、産業革新機構が40%。各国の関係当局の許可を得た上で、14年度中にも株式を取得する予定だ。

 王子ホールディングスは少子高齢化やオフィス・家庭でのペーパーレス化などの影響により、国内での紙需要が伸び悩んでいることを受け、海外事業を加速させている。また王子ホールディングスは森林資源が豊富なニュージーランドですでに植林やパルプの製造会社を運営しており、成長の見込まれる東南アジアやインド地域では建設中のものも含めて21拠点を展開している。今回の買収により原料を効率よく調達し、経済成長が見込まれるアジア市場に向けて製品の輸出を増やした考えだ。

 また製紙業界ではほかに、日本製紙<3893>が今年度中にタイにて新工場を稼働させる予定であり、また大王製紙<3880>も中国で紙おむつの工場を新設する予定だ。国内需要の減少により各企業とも苦戦を強いられているなか、海外事業を強化する動きが活発になっている。(編集担当:滝川幸平)