タカラバイオが細胞・遺伝子治療用の研究・製造施設を新設

2012年08月10日 11:00

 タカラバイオが、滋賀県草津市に細胞・遺伝子治療用の研究・製造施設を新設すると発表。延床面積約7000平米の土地に約40億円を投資する予定で、遺伝子治療・再生医療用の遺伝子導入用ベクター及び遺伝子導入細胞のGMP製造(医薬品の製造管理、品質管理基準に準拠した製造)や、基盤技術開発を行う。

 GMP製造の対象となる遺伝子導入用ベクターは、レトロウイルスベクター、iPS細胞作製用プラスミドベクター、HF10等の単純ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター等を想定している。

 同社は、体外遺伝子治療の臨床試験を実施している国内で唯一の企業であるが、新施設の設置によりこの優位性を確固たるものとし、遺伝子治療の自社プロジェクトを加速させ、また大学や企業からの遺伝子導入用ベクターのGMP製造受託サービスの売上拡大を図る。さらに、遺伝子治療・細胞医療の研究開発から製造までの体制を集約し、研究開発の効率化も図るという。

 同社の進める遺伝子治療臨床開発プロジェクトは順調に進んでいるものの、臨床試験後期のステージにおいては、現存の施設では遺伝子治療用ベクターの製造能力が不足おり、また、臨床試験用ベクターの製造受託サービスのニーズも高まっているため、製造施設の拡張が必要だという。さらに、遺伝子治療臨床試験の後期ステージにおいては、患者に投与される遺伝子導入細胞を調製する工程を、厳密な管理のもとで集約して実施する細胞加工施設が、医療機関内ではなく同社の施設として必要だという。加えて、今回取得を決定した土地では、新施設の建設に加え、現在、滋賀県及び三重県に展開している国内拠点の統合も視野に入れており、生産性の向上とコスト削減の観点から、最適な事業拠点の再配置を検討する。