三菱マテリアルの電気接点事業の連結子会社である三菱マテリアルシーエムアイが、東京丸善工業より同社の子会社である丸善儀表元器件(上海)有限公司(丸善上海)の持分を追加取得し、子会社化すると発表。子会社の資本金は700万米ドルで、三菱マテリアルシーエムアイが95%を出資、子会社化に伴い社名も東福喜儀表元器件(上海)有限公司へと変更する。
日本で唯一、粉末冶金法製造設備と溶解法製造設備を有して電気接点を製造しており、原料から製品まで一貫した製造工程を有する三菱マテリアルシーエムアイ。今回の丸善上海の子会社化は、中国自動車産業が依然として市場の拡大を続けており、中国における自動車関連部品の現地需要が拡大していることを受けたもの。丸善上海は、今後、三菱マテリアルシーエムアイ主導のもと、同業他社に先駆けて、川上工程となる電気接点の材料を製造する工程も導入し、溶解素材から接点加工に至る一貫製造体制を構築していくとのこと。また、日本と中国に生産拠点を分散することにより、自然災害発生等の際にも、サプライチェーンへの影響を最小限に留めることも目的の一つだという。
購入支援策を背景とした需要拡大の反動で、2011年の販売台数の成長は鈍化したものの、年間1851万台という世界最大の市場規模となっている中国自動車市場。これまでは沿岸部が中心であった需要増であるが、近時は内陸部でも需要が拡大しており、依然として市場拡大が続くと予想されている。こうしたことを背景に、自動車関連産業の中国進出・内陸部進出は今後も増加するであろう。一方で、労働賃金の上昇や中国経済の成長が鈍化していることもあり、以前と比べて進出のリスクは高まっているとも言える。今後、中国進出により目論見通りの成果を上げることが出来るのか否か、その判断がより難しくなってきているのではないだろうか。