6月2日、財務省より、四半期別法人企業統計調査が発表された。この統計は、資本金が1,000万円以上の営利法人等の仮決算計数を基に取りまとめたもの。財務省によると、この調査結果から2014年1~3月期の企業動向(金融業、保険業を除く)は、前年同期比で売上高は、製造業、非製造業ともに増収となり、経常利益は、製造業、非製造業ともに増益となったとしている。この統計により1~3月期の企業動向において製造業・非製造業ともに増収となった業種は、4月の消費税増税前の駆け込み需要により成長したことが推測できる。また、設備投資については、製造業、非製造業ともに増加したことが明らかになった。設備投資額に注目すると、投資額総計は12兆2,307億円で、増加率は7.4%(前期4.0%)と数字上では増加しているが、業種別にみると、製造業では、化学、鉄鋼、情報通信機械、また非製造業では、情報通信業、電気業、サービス業などで減少している。一方、増加した業種をみると、卸売・小売業、食料品、業務用機械、運輸業、郵便業、建設業、不動産業があげられる。また、ソフトウェア投資額を見ると、全体で1兆1,372億円(マイナス1.4%)となっている。
この統計は、消費税増税前の企業動向を示しているが、増税後の企業動向について注意深く見守る必要がある。駆け込み需要で一時的に企業収益が伸びたのか、それとも経済停滞から脱して次のステージへ移行しつつあるのか。4~6月を対象とする企業統計調査も近々発表される。今回の統計で増加した業種を含めて、今後景気回復を企業経営者がどう考えているのか非常に楽しみである。現在、政府では法人税減税が検討されているがその一方それを穴埋めする原資がないとされ、法人税減税分をどこから捻出するのか議論が活発化している。15年には新たな消費税増税が検討されているのは言うまでもない。このまま景気が回復し、企業の投資意欲が上がるのか、それとも内部保留などに向かうのか。消費税増税後の景気動向を企業経営者がどのように判断し、中長期的な企業成長を見据えた投資を促進させていくのか、今後の景気動向と企業の判断に注目したい。(編集担当:久保田雄城)