今年1月には貿易収支2兆7950億円マイナスという、1979年の統計開始以来、過去最大の貿易赤字を記録したが、その赤字幅に縮小傾向がみられ始めた。21日に財務省が発表した4月の貿易統計速報(通関ベース)によれば、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は8088億円の赤字であった。これで22ヶ月連続での赤字となったものの、前年同月と比較すると収支は1年8ヶ月ぶりに改善された。
4月の貿易赤字8088億円は、前年同月比7.8%のダウン。こうして前年同月比を下回るのは2012年8月以来のこととなる。今年の1月だけでなく3月も貿易赤字1兆4459億円と大幅な赤字であったが、それと比較すると赤字幅は約6400億円マイナスとなった。
4月の輸出額は前年同月比5.1%アップの6兆692億円で、14ヶ月連続でのプラス。品目別に見てみると、自動車は前年同月比5.1%、科学光学機器が前年同月比14.9%、プラスチックが10.9%とそれぞれプラスとなった。地域別に見てみると、中国向けの輸出が前年同月比9.8%アップで、これで13ヶ月連続でのプラスとなった。またアメリカ向けの輸出も前年同月比1.9%アップで、16ヶ月連続でのプラス。欧州連合(EU)向けの輸出も前年同月比12.7%アップで11ヶ月連続でのプラスとなった。
一方、輸入額は前年同月比3.4%アップの6兆8781億円で、こちらは4月としては最大額である。また18ヶ月連続でのプラスでもあった。伸び率は12年12月の前年同月比1.9%アップ以来の低伸長率となった。消費税増税を目前に、3月に輸入が一気に増加したことの反動減が影響したものとみられる。品目別に見てみると、鉄鉱石が前年同月比34.6%、半導体等電子部品が前年同月比30.6%、液化天然ガスが前年同月比11.0%とそれぞれプラスとなった。
これまで貿易収支は、円安影響や消費税増税前の駆け込み需要などにより、輸入額が高まり赤字が増加していた。しかしそうした影響も一段落し、今年度は赤字幅も縮小に向かうのではないかとされているものの、まだまだ22ヶ月連続で赤字が続いていることから、決して楽観視できる状態ではないといえる。(編集担当:滝川幸平)