税収損失256億円。課税すれば本当に国内事業者はアマゾンに勝てる?

2014年04月26日 22:12

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EUではすでにアップル、アマゾン、グーグルなどの海外企業から配信される音楽、映画、電子書籍、スマートフォンアプリなどのダウンロードコンテンツに対し付加価値税を課税している

 今月から導入された消費増税は、パソコンからダウンロードする電子書籍データやアプリデータの購入にも当然8%の消費税が課せられる。しかしアマゾンやグーグル、楽天KOBOなど、海外企業には支払義務がない。商品となるデータが海外のサーバーから配信されるため、国内取引とみなされないためだ。

 これは日本だけの問題ではなく、ヨーロッパでも起きている。EUではすでにアップル、アマゾン、グーグルなどの海外企業から配信される音楽、映画、電子書籍、スマートフォンアプリなどのダウンロードコンテンツに対し付加価値税を課税している。

 海外企業の「税金逃れ」と国内事業者の間ではこの不公平税制への不満が高まり、4月10日、書店、出版、インターネット広告の業界団体が連名で、税制改正を実施するよう求める声明を発表する会見を開いた。

 会見の中で、紀伊国屋書店 高井昌史社長は「8%は大変なハンディ。消費増税が10%になった時にはうちも白旗を揚げる」と発言。その時点で税制改正がなければ、電子書籍事業を打ち切る可能性も示唆した。

 来年、財務省は4月4日に開かれた政府税制調査会で「納税管理人」の設置を日本国内で海外企業に義務づけ、税金支払い代行者の税金を徴収する制度を導入する素案を示した。政府は今年度末までに消費税法を改正し、来年度には海外事業者にも課税を始めたいとの意向を示している。

 一方で、サービスを受ける消費者からすれば、これは単なる値上げになるのではないかと懸念する声もある。消費税が10%に増税されれば、アマゾンの電子書籍やグーグルプレイのアプリなどはまるまる10%値上げすることになる。本当に喜んでいいことなのだろうか。そもそも国内事業者がアマゾンやグーグルに溝を開けられていること自体、消費税による価格差だけが原因なのかも不明である。国内事業者は増税に頼るだけでなく、アマゾンやグーグルに優位に立てるだけの、企業競争力をつけるべきではないのだろうか。(編集担当:久保田雄城)