今日、車には高度な電子制御システムが数多く搭載されている。これらのシステムを駆使して、車両の点検、整備作業などをより的確に行うためには、システムを診断する必要がある。
デンソー<6902>は6日、北米における故障診断サービス事業を拡充するため、同地域で車載電子制御システムの故障診断サービスを提供するEASE Simulation社の発行済み株式の72%を取得して同社を買収することで合意したと発表した。買収は6月4日に完了した。
今回買収したEASE Simulation社は、北米のカーメーカー向けに車両の点検、整備作業などに使用する車両診断ソフトを提供している。デンソーは同社と緊密に連携することにより、北米における車両診断サービスを拡充していく方針だ。
またデンソーは、故障診断に使用するスキャンツール「DST-i」や、高度な故障診断を行うパソコン用車両診断ソフト「DST-PC」、さらにクラウド情報を活用した「DST-クラウド」を日本国内向けに提供している。今後はこれらも含め、EASE Simulation社とのグローバルな技術連携を通じ、故障診断ビジネスの海外展開を狙う。
EASE Simulationは、所在地は、米国ペンシルバニア州スコットタウンシップ。設立は1993年、資本金は約110万ドル。出資比率はデンソー・インターナショナル・アメリカ社72.1%、その他27.9%。従業員数は14人(2014年5月末時点)で、事業内容は故障診断ソフト・ハードウェア、排ガス検査機器などの開発、販売である。
デンソーは、北米において、ミシガン州サウスフィールド市にあるテクニカルセンターを中心に、約700人の技術者が環境、安心・安全分野などの技術開発に取り組んでいる。また、5月29日には米国シリコンバレーにある「デンソー・インターナショナル・アメリカ シリコンバレーオフィス」を拡充し、今後3年間で人員を現在の約3倍となる20人に増強すると発表している。
このように、ここのところ北米進出に積極的だ。今回の買収もその一環だ。世の中はどんどんグローバル化が進んでいる。グローバル化を念頭にビジネスを展開しないと生き残れない時代なのだ。(編集担当:慶尾六郎)