【日経平均】ECB利下げでもなお雇用統計待ちで2円安

2014年06月06日 17:40

 5日のNYダウは98ドル高で3日ぶりに史上最高値を更新。S&P500は連日の更新。NASDAQは44ポイント高だった。しかしソフトバンク<9984>子会社のスプリントは4.0%、その買収先のTモバイルUSは2.3%それぞれ下落していた。世界のマーケットがブリュッセルのG7サミットよりも注目していたフランクフルトのECB(欧州中央銀行)理事会は、FRBの量的緩和にならうEU各国債の買い入れのような「非伝統的手法」ではなく利下げを選択。主要政策金利のリファイナンス金利は0.25%から過去最低の0.15%になり、中銀預金金利は-0.10%でECB史上初のマイナス金利。金融機関がECBに資金を預けると利息がつかず、逆に利息を取られるので貸出を促す効果が出るという。少し前までの日本のようなデフレの回避に躍起なドラギ総裁は記者会見で「必要ならばさらなる措置を講じる」と強調して量的緩和の可能性も否定しなかった。ドイツDAX指数、フランスCAC指数は上昇したが非ユーロ圏の英国FTSE100は下落。為替市場ではユーロが発表直後138円台半ばまで下落したが一時的ですぐ戻す。ドル円はアメリカの長期金利が2.6%を割ってドル安に振れた。6日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が140円台近辺だった。

 シカゴCME先物清算値は15160円。日経平均は59.38円高の15138.75円で始まる。TOPIXもプラス。午前9時1分の15144円をピークに上昇幅を縮小し15100円をあっさり割り込み、プラス圏の15080~15110円のレンジで推移する。ECB理事会を通過しても日本時間で午後9時30分のアメリカ雇用統計発表が控え、様子見で上値を追えず逆に10時前にマイナスに沈む。香港はプラスでも上海はマイナスで始まった。その後、TOPIXは前場ずっとプラスだったが、日経平均は15000円の大台を手堅く維持してもプラスに浮上できないまま前引は15077円だった。

 後場は午後0時41分に15042円まで下落し、TOPIXも一時マイナスになるが、徐々に値を戻して1時台のうちにプラスに浮上。何度もマイナスに落ちながらおおむね前日終値比10円高以下の小幅高の水準を維持する。2時に4月の景気動向指数が発表され、一致指数は3.4ポイント低下で基調判断は「足踏みを示している」に改められたが、先行指数は0.5ポイントの低下にとどまった。4月が反動減で悪いのは織り込み済みで反応薄。2時30分前に15100円にタッチする場面もあったが、ボリンジャーバンドの「25日移動平均線+2σ(第2標準偏差)」15102円がレジスタンスラインの役割を果たして上値を抑える。終盤にはまたマイナスまで下落して、やはり利益確定売りの金曜日。最後までプラスとマイナスを行ったり来たりし、プラスで終了すれば日経平均は今週全勝で5日続伸だったが、そうは問屋が卸さず2.13円安の15077.24円で5日ぶりに反落し4勝1敗、前週末5月30日終値から444.86円上昇して今週の取引を終えた。週間の騰落は3週連続のプラス。日中値幅は102円。健闘していたTOPIXは+1.82の1234.57と反発。売買高は21億株、売買代金は1兆8976億円だった。

 株価指数は前日終値と僅差だったが、東証1部の値上がり銘柄は1110で61%を占め、値下がり銘柄は538。33業種別騰落率も24対9で上昇したセクターのほうが優勢だった。プラス業種の上位は海運、鉱業、鉄鋼、保険、機械、金属製品など。マイナス業種の下位は情報・通信、小売、陸運、電気・ガス、電気機器、医薬品などだった。

 日経平均採用225種は値上がり142銘柄、値下がり69銘柄でこれも数ではプラス優勢。プラス寄与度1位は中国でハイブリッド車向け磁石を量産と報じられたTDK<6762>で+5円、2位はトレンドマイクロ<4704>で+3円。マイナス寄与度1位は10日ぶり反落のソフトバンク<9984>で-14円。時価総額が東証1部第2位でTOPIX寄与度も大きく、株価指数低迷の元凶になった。2位はファナック<6954>で-9円。ファーストリテイリング<9983>は値動きなしだった。

 メガバンク3行は揃って上昇し、売買高1位に復帰したみずほ<8411>は1円高、三菱UFJ<8306>は5円高、三井住友FG<8316>は25円高。野村HD<8604>は6円高だった。オリックス<8591>が足利HD<7167>の発行済株式数の10%超を取得して第2位株主になるニュースがあり、オリックスは9円高、足利HDは7円高。筆頭株主は野村HD傘下の野村フィナンシャル・パートナーズ。りそなHD<8308>は11円高、三井住友トラスト<8309>は10円高。ノンバンクのアイフル<8515>は売買高2位、売買高4位に入り11円高だった。

 為替は円高ドル安に振れたが、トヨタ<7203>は32円高、ホンダ<7267>は15円高、三菱自動車<7211>は8円高と自動車大手はおおむね上昇。しかし日産<7201>は6円安で終えていた。プラグインハイブリッド(PHV)参入を検討中で低燃費車技術に3年間で3000億円を投資すると報じられたマツダ<7261>は、小飼雅道社長が「1ドル77円でも黒字を出す」と発言し3円高。だがそんな超円高がまた来たらマツダは大丈夫でも安倍内閣、日本経済は危うい。