人工知能がアイデア創出を支援 日本ユニシスとDNPが共同研究プロジェクト始動

2014年06月09日 07:45

 新規事業や新商品、新サービスの開発など、革新的なビジネスには新たな発想や視点を活用することが重要だ。しかし、アイデアを創造するための、ブレーンストーミングなどの会議では、ある一定量にアイデアが達した段階で進行が停滞するケースが多く見られる。

 また、新たなアイデアを一人で発想する場合や、いつもと同じメンバーで話し合う場合には、斬新な意見や新たな発想が出にくい、といった傾向がある。そこで、人工知能がビジネスアイデアのヒントをくれるとしたらどうだろう。

 日本ユニシス<8056>と大日本印刷<7912>(DNP)は6日、人間の知的創造活動をサポートすることを目的とした共同研究プロジェクトを開始したと発表した。

 その第一弾として、集団でアイデアを出し合うブレーンストーミング形式の会議において、人間のような常識を備えた人工知能(AI:Artificial Intelligence)を活用して、多彩なアイデアの創出を支援するシステムを開発し、本年秋から実証実験を行う。

 このプロジェクトは、日本ユニシスとDNPの協業の一つで、AIやテキスト情報から関連する言葉を抽出する言語処理技術、インタラクション技術など、両社のキーテクノロジーを融合させ、新規事業や新商品の開発といった知的創造活動を支援する新たなサービスを目指す。

 新システムでは、ブレーンストーミング中に出された意見のキーワードや文章などを入力することによって、その言葉から連想される言葉や類似する言葉をヒントとして提示。これをきっかけに、参加者が新たなアイデアを創造できるよう支援する。

 このシステムを利用したブレーンストーミングの進め方は、まず、ブレーンストーミングの参加者はノートPCやスマートデバイスなどを利用して、専用サイトにアクセスする。参加者は、会話をしながら、専用サイトの画面上に、付箋を使ってアイデアを書き出すようにアイデア(言葉)を記入していく。

 そうすると、AIを利用したブレーンストーミング支援システムが、参加者の記入した言葉を認識、解釈して、連想される言葉や類似する言葉を提示。参加者は、システムが示す言葉をヒントとすることや新たなアイデアの発想につなげることができる。

 AIに関する日本ユニシスの研究成果として蓄積された86万件のデータベースを応用し、両社で開発した独自のアルゴリズム(計算方法)により、連想語、類似語、反対語など、多様な観点でヒントを提示することで、アイデア創造の質と量を向上させる。

 また、会議で発想したアイデアは、ブレーンストーミングのテーマごとにサーバーで保管し、関係者限定で共有することができる。また、会議の前後に、一人でアイデアを膨らませるために利用することもできる。

 今後は、このシステムのソフトウェアとしての販売に加えて、クラウドコンピューティングを利用したサービスの提供や、会議室運営企業、事務機器メーカーとの連携による共同提供なども展開していく計画だ。

 両社は、2014年秋から両社の社内会議で同システムを利用する。また、知的創造ワークスタイルを目指す企業や官公庁、学校法人などを対象として、創造性を必要とする会議を、同システムを利用して開催するなどの実証実験を重ね、2015年初頭の製品化と販売を目指す。(編集担当:慶尾六郎)