どこかに旅行へ出かける時、また仕事で取引先を訪問する時、今や欠かせないのがパソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)で利用することのできる「地図サービス」である。そうした「地図サービス」の中でも最も知名度が高いのがグーグルの提供する「グーグルマップ」ではないだろうか。この「グーグルマップ」の精度をより高めるべく、米グーグルがアメリカの人工衛星事業を手がける企業を買収するとの発表がなされた。
10日、米グーグルは人工衛星事業を手がけるアメリカの企業「Skybox Imaging(スカイボックス・イメージング)」を買収すると発表。買収額は5億ドル(約510億円)を予定しており、規制当局の承認を得て買収は完了となる。
米グーグルはスカイボックス・イメージングを買収することにより、同社の衛星を米グーグルの提供する地図サービス「グーグルマップ」の精度向上に役立てるとしている。また将来的には、インターネットが利用できる地域の拡大や、災害支援での活用も目指すとしている。
スカイボックス・イメージングは、アメリカのカリフォルニア州に拠点を置く会社で、2009年に設立された。小型人工衛星の開発や打ち上げ、また衛星から地上を撮影した画像の分析・配信なども行っている。画像の配信先には、農業や資源探査、保険などの分野の企業などがある。
米グーグルは今、全世界でインターネットが利用できるようにするためのプロジェクト「Project Loon」を実施しており、今回のスカイボックス・イメージング買収もこのプロジェクトの一環であると思われる。また今年の4月には、アメリカの無人飛行機企業「Titan Aerospace(タイタンエアロスペース)」の買収も行っている。
こうした「地図サービス」の普及により、「街から迷路がなくなった」という声を聞くことがある。つまり、街を歩いていて道に迷うことがなくなったというわけなのだ。今回の買収による「グーグルマップ」の精度向上だけに限らず、こうしたサービスの質はどんどん向上し便利になっていくと思われるが、しかしそれにより「あてもなく街を歩き、そして迷う」あの得も言えぬ感覚が失われていってしまうことに対して、一抹の寂しさも覚えてしまう。(編集担当:滝川幸平)