新たなアップル関連銘柄ジャストシステム快走

2014年06月14日 13:27

 アップルの開発者イベント WWDC(Worldwide Developer Conference) 2014 がサンフランシスコで6月2日開幕した。世界中のアップルを愛するファンが、どんなワクワクする製品が発表されるのか固唾をのんでプレゼンテーションを見守った。ところが、今回は新しい製品の発表は無かった。事前に「iPhone6」や「iWatch」、「Apple TV」の発表があるのではないかと噂されていたが、新たなハードの発表は一切なく、肩すかしを喰らったファンも多かったようだ。しかし、そこで発表された最新の基本ソフト(iOS8)の概要はある意味、新製品の発表以上にセンセーショナルなものだった。iOS8とはiPhoneやiPad向けの基本ソフトだが、アップル純正以外のソフトウェアキーボードに対応することが判明したのだ。

 2012年1月、アップルは初めて部品・部材などの調達先企業のリストを公開した。この時、公開されたリストに載っていた企業の株価はマーケットで人気を集め、急騰を演じた。以来、新しいアップルの製品が発表されるタイミングに合わせて、関連銘柄が物色されることになる。そして、今回はこれまでになかった新たなアップル関連銘柄が加わり、投資家の注目を浴びている。

 ジャストシステム<4686>。同社は古くから日本語変換システムの研究に熱心に取り組んでおり、ワープロソフト「一太郎」を世に送り出した。現在も日本語変換ソフト「ATOK」を核として多種多様なソフトウェアを販売している。この「ATOK」がiPhoneやiPadで利用可能になるとの憶測から同社株が大きく上昇している。5月19日、年初来安値641円を付けた後、6月9日終値は975円まで上昇しているのだ。この間の上昇率は52.1%だ。

 iPhoneやiPadを日本語環境で利用するには、インプットメソッドエディタ(IME)と呼ばれる日本語入力システムが組み込まれている。これまでアップルはiOSでは自社のIME以外の使用を認めてこなかった。ジャストシステムとしてもアップル製品に対応しようと自社製品ATOKの名を冠した日本語入力メモアプリをリリースしてきたが、正直なところその使い勝手は決して褒められたものではなかった。ところが、ついに非アップル製IMEの解禁を認めたのだ。これで、状況は一気に変化しそうだ。
 
 今のところジャストシステムのホームページ上にiOS8に対応した製品についてのニュースリリースは無い。しかし、多くのアップル製品の利用者はiPhoneやiPadでATOKを利用したいと切望してきたはずだ。その期待の大きさがジャストシステムの株価の急上昇に繋がっているのではないか。(編集担当:久保田雄城)