【日経平均】メジャーSQ週の15000円の攻防で129円安

2014年06月10日 20:37

 週明け9日のNYダウは小高く推移して18ドル高。3日連続で史上最高値を更新し未知の宇宙を航行中。NASDAQは14ポイント高。前週末に1対7の株式分割を実施したアップルは実質1.6%上昇。医薬品大手のメルクがバイオ医薬品のイデニックスの買収を発表し0.16%上昇した。10日朝方の為替レートはドル円が102円台半ば、ユーロ円が139円台前半で、ユーロが安くなっていた。

 前日の午後3時に5月の「景気ウォッチャー調査(街角景気)」の結果が発表された。現状判断指数は4月から3.5ポイント改善して45.1。先行き判断指数は4月から3.5ポイント改善して53.8。先行き判断はベア、ボーナス期待で2ヵ月連続上昇した。「気分」に左右されるセンチメント系の経済指標とはいえ、消費増税後の反動減は5月は4月よりもマシになっているという見方が有力で、これで日銀の追加金融緩和がまた遠のきそうだ。

 シカゴCME先物清算値は15165円。取引時間前に発表された5月のマネーストック(通貨供給量)の「M3」は前年同月比2.6%増、「M2」は3.3%増。4月の第三次産業活動指数は消費増税後の反動減で卸売・小売業が14.6%低下して前月比5.4%減の97.4だった。外資系証券の売買注文動向は買い越し。日経平均は6.74円高の15130.74円で始まる。しばらく前日終値をはさんで上げ下げしたが、午前9時29分に15184円まで上昇する。TOPIXのほうが上昇幅が大きく1240を超える。ところが9時台後半は前日終値付近まで下げ、値を消した。

 そろそろ13日のメジャーSQの影響が出てきて日経平均がザラ場中に突如アップダウンしはじめる頃合い。「5月の底値から1000円以上も上昇したから先物は順調に9月限にロールオーバーするはず」と甘く見ると痛い目にあう。3月、4月には現状より高値だった時期があり、今週は決して平穏なゴルディロックスではない。それをさっそく証明するかのように10時台は為替の円高を伴ってマイナス圏に落ち、さらに急落する。「日経平均先物の売り、国債先物の買いで円高になり、日経平均先物がさらに売り叩かれる」という、昨年6月頃の低迷期によく見られた悪循環パターンでアッと言う間に15100円を割り込み、10時25分に15070円まで下げる。最近は〃しっかり者〃と評判のTOPIXまでマイナスに落ち、新興市場はもっとひどい下落ぶり。特に悪材料がなくても、高値圏の利益確定売りとメジャーSQ前の先物主導の「15000円の攻防」が重なると、こうも軟調になる。

 日経平均の大台割れを阻んだのは10時30分発表の中国の経済指標だった。5月の消費者物価指数(CPI)は2.5%増で市場予測と同じ。生産者物価指数(PPI)は1.4%減でほぼ市場予測通り。安心感で上海市場も香港市場もプラスで始まり、日経平均も下げ止まる。しかし11時すぎ、麻生財務大臣が閣議後の記者会見で、経団連の榊原会長の「景気回復による税収増を法人税引き下げの財源にできる」という発言に対し「いや、恒久財源は欠かせない」と応じたという速報が入る。以前から言っていたことだが日経平均は敏感に反応して一段安になり、11時24分には15044円まで下げ、前引は15058円だった。

 大台割れも覚悟の後場は前引水準でしばらく推移するが、午後1時台に一段安になり1時8分に15010円まで下落する。TOPIXも崩れて1230を割り込んだ。2時を回ると再び下落局面が訪れ2時5分に15002円まで下げるがこの時は水面ギリギリで浮上。しかし2時31分についに大台割れした。お城と同じで防衛線を突破されると敵がドッとなだれ込み、2時34分に14966円まで下落。終盤に15000円にタッチする時間帯もあったが、終値は129.20円安の14994.80円と反落し3日から5日間守った終値15000円台とお別れした。日中値幅は218円に拡大。TOPIXは-6.05の1228.73で3日ぶり反落。売買高は19億株、売買代金は1兆7289億円だった。

 上昇したのは599銘柄、下落したのは1062銘柄で全体の58%を占めた。プラスのセクターは5業種、マイナスのセクターは28業種。陸運、銀行、鉄鋼、電気・ガス、金属製品がプラス。食料品、その他製品などがマイナス幅が小さい業種で、パルプ・紙、その他金融、証券、サービス、情報・通信、水産・農林などがマイナス幅が大きい業種だった。

 日経平均採用225種は値上がり43銘柄、値下がり168銘柄。プラス寄与度1位はミネベア<6479>、2位は資生堂<4911>でともに+1円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-21円、2位はソフトバンク<9984>で-17円だった。